「そうや.予定調和に対する反逆.運命に対する抵抗.相対性逆転不条理漫才云いますねん」 © ゲサク.
核戦争後の地球に残された二人の男女 (九重五郎吉一座) + 謎の男一人.ある関西の地方都市の廃墟で繰り広げられる虚無芝居.ソース自体は五年前の NHKアーカイブス 保存番組検索: 舞台「寿歌」 深夜劇場へようこそ 【作】北村 想 (※) と同じ.蛍魂説=「もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂かとぞ見ゆる」 (和泉式部).頭の北村想のインタビュー (1982 年 5 月 30 日[NHKアーカイブス 保存番組検索: 芸術劇場 新劇 「寿歌」.これは加藤健一事務所公演の数ヶ月後に放送されたもの.]) によれば,オリジナルは原稿もメモも残ってないそうである[『寿歌』の本は最低でも四種類出てるけど,いちばん古いものは 1980 年 3 月名古屋の出版社から出た 北村想 "不・思・議・想・時・記", プレイガイドジャーナル, 1980, だと思われる.初演はおそらく 1979 年の 12 月.].前奏曲,間奏曲,終曲には Beatles の曲が使われている.今改めて聞くと下世話に聞こえるな (笑).もともとは「女優の練習用台本を書くつもりで書いた
[北村想 "空想と科学", -北村想の宇宙-, 白水社, 1987, ISBN4-560-03237-8., p. 173, TPO師★団.]」作品なんだそうである.
終景のト書きに「その日,世界は雪.地球はすべて雪.この日より氷河期始まる」とある.終末を超えて「それでも」生き延び続ける人間たち.九重五郎吉一座のゲサクとキョウコはカリオを加えて三人編成となり (『寿歌 II』, 1982, + クマ[北村想 "北村想の劇襲", 而立書房, 1982, 1986.]),その三年後にはキチジロを加えて四人編成となる (『寿歌西へ』, 1985[北村想 "寿歌西へ / Fairy Tale", 白水社, 1985, ISBN4-560-03331-5.]).
- 景一 花火
- "Yellow Submarine"〜爆破音 + 真っ赤な照明
- 変更:芭蕉→一茶, p. 175[以下,プレイガイドジャーナル 前掲書.]
- 追加:キョウコ「B 組のアホのヤスオといっしょや」, p. 178
- 音声 & 映像カット:キョウコ「(なあんや,) あてはまた,オメコ (見せてくれ云うのか思た)」, p. 180
- 変更:ヤスオ 桃の木と隣の二階のお姉さん, p. 181
- 追加:キョウコ バナナ,?,後楽園, p. 183
- 追加:ヤスオ 暗黒舞踏, p. 184
- 追加:キョウコ 物品引き寄せの術の真似, p. 185
- 景二 火垂
- "For No One" (Revolver)
- 変更:ゲサク 三日ぶり→三ヶ月ぶり, p. 187
- 変更:「戦争はもう終わったのでは?」〜ゲサク工場勤務〜ハルマゲドン, p. 188
- 変更:キョウコの寿歌,頭のはカット,泉谷しげるの『夜のかげろう』の代わりに寿歌, p. 188
- 変更:キョウコ 天皇へいか→B 組のアホのヤスオ, p. 188
- 変更:キョウコ スタートレック・ネタ〜電池探索部隊 + コンバット, p. 189
- 音声 & 映像カット:ゲサク「(リヨナを受けて) 私は美しい.いやいや,何でもあらしまへん」. p. 190
- 変更:ヤスオ「しかし,あの空が夕焼けじゃないなんて」の直前でクシを出す, p. 190
- 追加:キョウコ「これも拾って来た」〜手榴弾ネタ, p. 191
- 変更:(相対性逆転不条理漫才) 地下鉄の電車→ UFO, p. 194
- 変更:(相対性逆転不条理漫才) 宇宙人→火星人, p. 194
- 変更:(相対性逆転不条理漫才) キョウコ「おまえ,大きなったら何になるの」→「誰が白豚やねん」, p. 194
- 削除:(相対性逆転不条理漫才) キョウコ「私云いましてん」〜ゲサク「持っていったわけやな月へ」, p. 194
- 変更:(相対性逆転不条理漫才) キョウコ「話が地下鉄だけに」→ゲサク「私が埋めました」は話者交換, p. 194
- 変更:キョウコ (こげついとんのは)漫才のネタ→頭の中, p. 196
- 追加:ヤスオも百数える〜ゲサク「あんた何してまんねん」, p. 197
- 追加:キョウコの寝言二回, p. 197
- 変更:ヤスオ「火をみましょうか」→「片付けましょうか」, p. 197
- 削除:ゲサク「ああ,そうしとくんなはれ.わては残ったごはんでおニギリ作りまっさ」, p. 197
- 追加:櫛の件の後,ゲサク「先に寝とくんなはれ」の前に,ヤスオ「星が出ましたね.一番星ですね」〜レザー光線を発射する人工衛星〜ナースビ→ヴィーナス〜星の話」, p. 198
- 追加:キョウコの毛布に潜り込むヤスオは二回, p. 198
- 追加:ゲサク,子供用のアノラックを無理矢理引っ被って寝る, p. 199
- 変更:ゲサクの眠り芸.ヤスオに与えるのは大小の日本刀ではなくて箒とちり取り, p. 200
- 変更:ダルタニアン→眠狂四郎, p. 200
- 変更:ガイ・ウィリアムス→子連れ狼, p. 200
- 追加:ゲサク「何,つう が!」, p. 201
- 追加:ヤスオ,ちり取りでゲサクの頭をめった打ち (笑), p. 203
- 変更:不死身→スーパーマン, p. 203
- 変更:ゾロ→武蔵,仇討ち→プロレス,死人の数は二人→三人, p. 204
- 変更:「せいこうせいこう.ゴジラのふぁっくや」の辺り→「見たか必殺カバ返し」, p. 205
- 削除:ヤスオ「どういう発作なんですか」,キョウコ「これこれしかじか」, p. 205
- 景三 風雷
- "Hey Jude"
- 音声 & 映像カット:キョウコ「そうやねん.あれからあのホタルぎょうさんうちのおそその中へ入ってきよったんや」, p. 208
- 変更:ちんどんにはヤスオもウッドブロックで強制参加, p. 209
- 変更:ゲサクのお囃子唄:妖精→処女子, p. 210
- 削除:ゲサクのお囃子唄:思えば遠き 二千年〜バラモンの秘宝と伝えられし ところの 肉なるぞ, p. 210
- 変更:ゲサクのお囃子唄:脳は もの見る眼となりて→眼は もの見る脳となり 耳は 音色につつまれて, p. 212
- 追加:ゲサク「(まずは世にも不思議な大魔術) 奇妙奇天烈奇々怪々言語道断七転八倒 (人間物質転送機)」, p. 213
- 変更:ハレトケヤスオ→ハレルヤヤスオ, p. 213
- 変更:うちのビックリ箱→リヤカー,首飾り→十字架, p. 214
- 削除:キョウコ「さて,次なる演技は (世界で唯一人)」, p. 216
- 変更:キョウコ 空→天, p. 216
- 変更:キョウコ「ABB テレビ世界ドッキリアワー出演 ドッキリグランプリ」→「テレビ群馬開局五周年[テレビ群馬の開局は 1971 年 4 月 16 日, 会社概要|会社案内|群馬テレビ.]記念特別番組世界なんでもチャンピオン」, p. 217
- 音声 & 映像カット:キョウコ「メンソレータムつけてもあかんやろな」,ゲサク「あかん」, p. 219
- 削除:キョウコ「逃げて (明日考えよう.明日がある.明日考えよう.明日に希望を託して)」, p. 219
- 変更:キョウコ「ねえ,春日野さんが「嵐ヶ丘」に行ったときに自分がヒースクリフの役をやっているのでヨークシャーの荒野を横ぎる時になってあの二人の愛の亡霊と三角関係になるのじゃないかとひやひやしたと云っているのだけど,あれはわくわくしたのじゃないかしら. (声を変えて) それは難解ね[これは唐十郎の『少女仮面 』の冒頭部分.声を変える前が貝,後が老婆の台詞.]」→「ほら,楽隊があんなに楽しそうに通り過ぎて行く.あれを聞いていると,生きて行きたい,そう思えてくるわ.やがて時が経てば,わたしたち三人姉妹がなぜこんなに苦しい思いをしなければいけないか (ヤスオ天児を持って来て胸の前に掲げる),なぜわたしたち三人姉妹がこんなに哀しい思いをしなければいけないか,判る日が来る.きっと来るわ.その日まで生きて行きましょう[チェーホフの『三人姉妹』.]」,ヤスオ「生きるべきか死すべきか,それが問題だ」,キョウコ「わたしはカモメ」,ヤスオ「尼寺へ行け」, p. 220
- 追加:ゲサク「ヤソでんがな,ほれ,アーメンのヤソはん」,ヤスオ「ヤソならいったいどうするんですか」,ゲサク「ほんま云うたらな,わてもアーメンでん」,ヤスオ「え?」,ゲサク「隠れアーメン」,ヤスオ「何で隠れてんですか」,ゲサク「ほんまヤソはんちゃいまんのん. (どうも登場の仕方が臭かった)」, p. 223
- 追加:ゲサク「(我罪なす時ヤソもまた),我もヤソも同じなり.(ゆえにしかして然りなりて アーメン)」, p. 224
- 変更:ジュスチイヌ→大原麗子,ロミオ→島田陽子, p. 225
- 追加: (ヤスオ「町の衆!」),キョウコ「この百姓」,その他ヤスオの演説の合間に茶々入れ〜「バルタン星人よ」, p. 226
- ゲサク「タヌキやないわ,ウサギや」という言い間違いはアドリブではない.ちゃんと明記してある,p. 227
- 追加:いったん死んだゲサク「ヤスオはん,こんな時に何でっけどな,ゲソクやおまへん,ゲサクだす」,ヤスオ「すんまへん!」,ゲサク「ワヤや」,p. 232
- 景四 惜雪
- "A Hard Day's Night"
- 追加:ヤスオの別れ:プロレス技の応酬〜ゲサク「猪木くん!」,ヤスオ「馬場さん!」, p. 236
- "Let It Be"
けっこうアクションが追加されてるのが面白い.あと,ちゃんと取り替え自由な部分はコンポーネント化してあるのな〜.
- ゲサク:加藤健一
- キョウコ:三輪裕美子
- ヤスオ:星充
- 作:北村想 (北村 想 の ポピュリズム)
- 演出:大杉祐
- 照明:黒尾芳昭
- 音響:松崎俊章
- 制作:中尾しのぶ
- 1982 年 2 月,紀伊國屋ホール,加藤健一企画公演
ゲサク「これ以上のダイヤローグは質を下げる」,ヤスオ「まさにこの対話がそうだ」,ゲサク「これが演劇だとは云わせない」.事前に指定してある「事故」をほんとの「事故」のように思わせる加藤健一は流石としか.
0 件のコメント:
コメントを投稿