2009 年 5 月 23 日
いのうえmeetsシェイクスピア「リチャード三世」 | WOWOWオンライン, 赤坂ACTシアター『パルコ・プロデュース公演 いのうえmeetsシェイクスピア リチャード三世』|TBS.
「馬を貸せ,馬を.馬はないか! 褒美にこの国をやるぞ!」 © リチャード三世.有名なこの台詞,二回連続して出てくるのね (A horse! a horse! my kingdom for a horse!).
二年ほど前に野村萬斎版の『国盗人』=リチャード三世を録画して観たが,今度は劇団☆新感線の いのうえひでのり 版.そちらで左大臣=ヘイスティングス卿を演じていた大森博史が,今度は久秀=バッキンガム公をやっとります.のはエエんだが,録画機の方の入力ライン再設定をし忘れてて,頭の 25 分ほどが欠けてしまったという思い掛けないミス発生.なんという間抜け振りか orz.
エリザベス@久世星佳,マーガレット@銀粉蝶,セシリー・ネヴィル@三田和代の三人は凄ぇ迫力だな.このテルツェットは,まるでマクベスの魔女かグライアイだ (笑).男優陣もオモロかったが,肝心要のリチャード三世がどうもな.なんか最後まで前半はよそ行きの感じを拭えず.ほとんどマラソンかトライアスロンかみたいなこの芝居で,主人公がコレだとキツいよな〜.そのせいか,約三時間のこの芝居 (録画に成功してたら 200 分ぐらいになるはず) が,ヤケに長く感じられた.おっかしいな〜,古田新太ってこんなもんじゃないハズだと思うんだが.子役の二人は……,なんとかならんかったんか (笑).若い俳優を使った方が佳かったかも.テューダー朝になってからエリザベスは王妃の母となったにも関わらず不幸な晩年を送ったそうである.セシリーは宗教に走ったそうだ.この二人はリチャードの死後 10 年以内に相継いで亡くなっている.マーガレットはリチャードの死の三年前にアンジューで亡くなっているそうだ.あのテルツェットは史実ではあり得なかったのかも知れん.
不興を買ったバッキンガムが反乱を起こし,ヘンリー・テューダーが人を集め始める.その後にテルツェットが入って,リチャードが出陣する.ここからラストまでおよそ 45 分以上あるんだが,この辺りからずっと,ごく低い帯域でずっとノイズ的 SE が鳴っている.これがクライマクス曲線のベースになってる感じ.
- リチャード三世:古田新太
- アン (エドワード王太子寡婦,自殺):安田成美
- ジョージ・スタンリー卿 (リッチモンド伯の義父):榎木孝明
- バッキンガム公 (リチャードの腹心,のちに謀反) *:大森博史
- 故ヨーク公夫人セシリー・ネヴィル (リチャードらの母):三田和代
- マーガレット (ヘンリー六世寡婦,フランス・ヴァロア=アンジュー家出身):銀粉蝶
- エリザベス (エドワード四世妃,ヨーク公リチャードの母):久世星佳
- リヴァース伯 (マーガレット & 皇太子エドワードの側近) *:天宮良
- ヘイスティングス卿 (侍従長,エリザベスの保護者) *:山本亨
- ケイツビー (リチャードの部下):増沢望
- ラトクリフ (リチャードの部下):西川忠志
- リッチモンド伯 (ヘンリー・テューダー.のちのヘンリー七世):川久保拓司
- ドーセット侯 (マーガレットの息子,リッチモンド伯に合流):森本亮治
- イーリーの司教 (ジョン・モートン.リッチモンド伯に合流) 他:逆木圭一郎
- 刺客他:河野まさと
- ロンドン市長他:村木仁
- ヨークの大司教他:礒野慎吾
- 使者他:吉田メタル
- ジェイムズ・ティレル (暗殺者) 他:川原正嗣
- 兵士他:藤家剛
- エリザベス (黙役? 娘役,エドワード四世の娘):山本映美莉
- 皇太子エドワード (子役.エドワード四世の皇太子) *:田中賢斗
- ヨーク公リチャード (子役.エドワード四世の息子) *:中村咲哉
- エドワード四世 (イングランド王,リチャードの長兄,病死?):久保酎吉
- クラレンス公ジョージ (リチャードの次兄) *:若松武史
- 演出:いのうえひでのり
- 翻訳:三神勲
- 音楽:岡崎司
- 美術:池田ともゆき
- 照明:原田保
- 衣裳:前田文子
- ヘアメイク:宮内宏明
- 映像:上田大樹
- 小道具:高橋岳蔵
- 音響:井上哲司
- 音効:末谷あずさ
- アクション指導:川原正嗣,藤家剛
- 特殊効果:南義明
- 演出助手:菅野将機
- 舞台監督:芳谷研,吉見裕司
- テーマ曲歌唱:平田美和子
- ムービングプログラマ:古枝康幸
- 企画・製作:株式会社パルコ
- 製作: WOWOW
- 2009 年 1 月 29 日,赤坂 Act シアター
* はリチャードに殺された人物.テーマ曲歌唱,確かにヴォカリーズで歌っとります.で,「ムービングプログラマ」って何をやるの?
「あんな人殺しをするやつと思えば,この腹の中にいるうちに絞め殺して,この世に出てくる邪魔をしてくれたものを」 © 故ヨーク公夫人セシリー・ネヴィル.
やっぱこの後解毒剤としてテイおばさまの『時の娘』読んでしまうだよ (笑).
2009 年 7 月 20 日,再放送
およそ二ヶ月の間隔をおいて念願の再放送.善哉善哉. 松岡訳 を片手に見てたんだが,ずいぶんと細かくカットしてあるんだな.ノー・カットだと上演時間はけっこう延びるんだろか.二回目視聴はずいぶん短く感じられた (をい!).それに,とても面白い.前はちょっとどうよと思ってた古田新太@リチャード三世も佳かったっす.ほぼ三時間強ほとんど出ずっ張りな上に最後の最後で大立ち回り.リッチモンドの影武者を五人まで倒したそうな.ほとんどヘルデン・テナーっつ〜か,ジークフリート? 全編全速力ハイ・パワーってのは無謀です.でも,アレだ,第 1 幕 2 場の口説きの場では,リチャードのプレイボーイ振りよりもアンの方のへちょさ具合の方が強調されてるような.アン以外の女三傑,「マクベスの魔女かグライアイ」ってぇのは力不足.あくまで地上の人だもんな.
この世界は「イングランド」という名の地底国家.モニターの多用『ブレードランナー』的なイメージによるもので,監視されている世界なんだそうである.あの衣装は 60 年代スウィンギング・ロンドンだとか.グランジかと思いましたよ (笑).リチャードの「独白」は口述筆記みたいなもん.そういや,ネットブックみたいな小さなノートを持っている.頭に 2 分半ほど映像付きナレーションで「前回までのあらすじ」.これって,舞台のモニタに映されていたんかな.ついで,本編前の戦闘の様子.とくにヘンリー六世とその皇太子エドワードの殺害現場.二つ合わせて 5 分弱ほどもある.長いっす.第 5 幕 3 場の亡霊の呪言攻撃八連制覇は,対リチャードのみで,対リッチモンドへの「勝利の約束」はすべてカット.リヴァーズはエリザベスの兄だったんですか.エリザベスの長子,ドーセット侯の兄かと思ってました.ドーセット侯の弟グレイ卿,トマス・ヴォーンはドーセット侯と同じ時に処刑されてるんだが,この二人の分はドーセット侯が背負う.
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