「諺にありますよ.「死刑と結婚は運次第」って」 © ネリッサ.原文は "The ancient saying is no heresy, Hanging and wiving goes by destiny." (※).
劇場中継 「劇団プロペラ『ベニスの商人』」, Propeller - In the Company of Men > About the Propeller Production Company.
プロペラと言っても,そっちではなくて,イギリスの野郎だけの劇団.
ラム姉弟の『シェイクスピア物語』とかで誰でも知ってる『ヴェニスの商人』の話だが,少なくとも,おれは芝居を見たのは初めてである.こんなに後味の悪い話だったっけ (笑).喜劇なんだろ,一応は? Merchant of Venice: Entire Play.いきなりパーカッション群が鳴り響いてびっくりする (笑).冒頭の白服ギャング "Which is the Christian Here, and Which the Jew?"[これは若い法学者バルサザールに扮したポーシャの台詞 "is the merchant here, and which the Jew?" が元ネタなんかな〜.] という台詞は Merchant of Venice: Entire Play にはない.その後はアントーニオの "In sooth, I know not why I am so sad:"... で,こちらはある.が,その後のサレーリオ[サレーリノではなくてサレーリオ.]の台詞からカットが入る.サレーリオの最初のパラグラフは頭の "Your mind is tossing on the ocean;" 一行だけで,第二パラグラフの "Believe me, sir, had I such venture forth,"... へ飛ぶ.で,ここはヴェニスに刑務所だそうな.「雑居房の劇中劇」なんだそうである.「どっちがキリスト教徒でどっちがユダヤ教徒だ?」はケツにも引用される.最初の台詞を語る白服ギャングは,あとのほうでヴェニス公爵だと判る.無法の町か! (笑)
すまん,どう見てもキリスト教徒の不寛容の方が.ヴェニスは魔女狩り旋風が吹き荒れていた時代にも, 39 ヶ条の条件[森島恒雄 "魔女狩り", 岩波新書, 1970, 2006, ISBN4-00-413020-4, pp.37-38]を出して抵抗したリベラルな国家じゃなかったのか (笑).パスカル「人は,宗教的信念によって行うときほど喜び勇んで,徹底的に悪を行うなうことはない」 ([ibid., p.73]).これは四面楚歌の中でひとりのユダヤ人金貸しが破滅させられる物語である (笑).頓知計画の剣はバッサーニオが「血は一滴も流させない」と途中で語ってる.みんなグルなのに.
箱選びで竹取物語を思い出したんだけど,なんかこれ各種文化に共通する構造なのかね.
- アントーニオ (貿易商人):ボブ・ベアレット
- サレーリオ (バッサーニオの遊び人仲間):サム・スウェインズブリー
- グラシアーノー (ネリッサの婚約者):リチャード・フレイム
- バッサーニオ (薔薇族の遊び人.アントーニオと薔薇関係):ジャック・タールトン
- ポーシャ:ケルシー・ブルックフィールド
- ネリッサ (ポーシャ付きのメイド):クリス・マイルズ
- シャイロック (金融業者):リチャード・クロージアー
- モロッコ大公 (ポーシャの求婚者):ジョナサン・リヴィングストーン
- アラゴン大公 (ポーシャの求婚者):トマス・パデン
- ラーンスロット・ゴボー (シャイロックの使用人,のちにバッサーニオに寝返る):ジョン・ドゥーグル
- ジェシカ (シャイロックの娘):ジョン・トレンチャード
- ロレンゾー (ジェシカの婚約者):リチャード・デンプシー
- テューバル (シャイロックの使用人? 同僚?):トマス・パデン
- ヴェニス公爵 (白服の男):バブー・セセイ
- デイヴィッド・ニューマン
- 演出:エドワード・ホール
- 翻訳:小田島雄志
- 美術:マイケル・パヴェルカ
- 照明:ベン・オームロッド
- 音楽:プロペラおよびジョン・トレンチャード
- 公演制作:ウォーターミル・シアター / 劇団プロペラ,東京芸術劇場
- 2009 年 7 月 8 日,東京芸術劇場・中ホール
え〜「男性だけで演じる点はシェイクスピアの時代と同じ」なら,『小鳥の巣』での『お気に召すまま』もそうだったんすね.確か,エドガーがロザンリンドで,アランがシーリアだったはず.
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