ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2005年9月26日月曜日

物欲を退ける

物欲に走っても、所詮は生きている間だけの所有欲を満たすだけ。いろいろあって、なるべく物を持たないようにしている

その考え方には共感する部分もあるんだが,ほんとにそれでイケるの? 「持つ物も、自分が生きている間だけレンタルするという考え方」で全部賄えるの? という疑問が残る.つまり,「あんたの人生,全部が借り物で済ませられるの?」.吉田秀和は名著『LP 三〇〇選』で,確か住まいの近くに充実した図書館と三〇〇のアルバムがあれば佳い,みたいなことを言っていたけど,それだって,そのアルバム群は自分だけのライブラリ,つまりは他には替えられない図書館だ.公共の図書館ではカバーできない自分というものがそこに在ると云っている訳だ.

前はこれほど消極的というか,佳い意味でも悪い意味でも (笑),生きていることをもっと楽しんでいたと思うし,こちらもそういう部分を見習って来たんだが,どうしてそんな風になっちゃったんだろ.まぁ,「お前にだけは,んなこと云われたかねぇよ」と云うだろうが (笑).「物を持つ」ということが「生きている間だけの所有欲を満たすだけ」としか解釈できないのは,何か心理的な抑圧があるとしか思えない.

世代の問題もあるのかも知れんな.

同年代の人間に限って云えば,われわれのような凡人では身の回りのモノが多い人間ほど話を聞いてて面白い.全部がそうだとは言わんが,半分ぐらいは当てはまるんじゃなかろうか.結婚して子どもが出来たとたんに面白くない退屈なヤツになってしまうんじゃないか.身の回りにモノを置かずにそういうことが可能な人間となると,江美留 (稲垣足穂『弥勒』) みたいなヤツだろうなと想像する他なくて,そうなると,そういった悟りを目指しているのだとなれば,これはわれわれ凡人を遥か眼下に広がる海に置き去りにして (笑),気球に乗って苦難の道を歩むことになるのであるから応援せねばならぬのだろうが.

でも,まぁ,最近でも iPod とか .hack//SIGN とか serial experiments lain とか Betterman とかを買い込んでるから,「持つものを厳選しよう」とかいう話だったら,これは心配要らないんだが (笑).その場合は済みませんと謝って引き下がれば笑い話で済む……のか?

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