誰でも知ってる『ハムレット』だが,観るのは初めてだ (笑).いや〜,やっぱ読むのと観るのじゃ大違いだねぇ.もう 60 歳近いハムレットだが,違和感は最初だけで,あとは言葉のパワーに押し切られる.プロはやっぱ違うな〜.あと,え〜と,音響のせいだろか,台詞は一部聞き取り難い.時間は三時間弱.なんでもシェイクスピアの作品中でも最大規模なんだそうである.
この劇中では殺人が五件.『マクベス』より多い.自殺というか事故死は一件.これは『マクベス』の自殺数と同じ.ところで,先王ハムレットは劇中劇のとおり毒殺されたのだろうか.ここではクローディアスと先王の亡霊は同じ役者が演じてる.う〜む.事故死したオフィーリアを除くと,殺されたのは宰相ポローニアス家とデンマーク王家の人間だけだ.得をするのは誰か? もちろんフォーティンブラスである.お人好しのクローディアスに王位乗っ取りを示唆したのはバイクに乗ったフォーティンブラスじゃねぇのか (笑).
例の有名な台詞,「尼寺へ行け (Get thee to a nunnery:)」はそのままだったが,「To be, or not to be: that is the question:」は「生きてとどまるか,消えてなくなるか,それが問題だ」となっていた.あとは「このデンマークでは何かが腐っている (Something is rotten in the state of Denmark.)」だな.『われらのギャング』の第四章「トリッキー,国民に訴える」の (有名な演説「デンマークではなにかが腐っている」[フィリップ・ロス "われらのギャング", 青山南 訳, 集英社, 1977, pp.89-129, (Philip Roth "Our Gang", Starring Tricky And His Friends, 1971)]) の出典が『ハムレット』だとは知らんかった.今読み返してみたら,三箇所ほど「ハムレットの城」として言及[ibid, pp. 93-95.]されていたのに,である…… orz.
- ハムレット:市村正親
- オフィーリア:篠原涼子
- オリヴィア:宮本裕子
- ポローニアス:湯浅実
- クローディアス・先王ハムレットの亡霊:瑳川哲朗
- ガートルード:夏木マリ
- ホレイショー:大森博
- レアティーズ:橋本さとし
- ローゼンクランツ:大川浩樹
- ギルデンスターン:横田栄司
- オズリック:清水幹生
- 座長・墓掘り:沢竜二
- 黙劇の王妃・墓掘りの相棒:山谷初男
- 劇中の王妃:月川勇気
- フォーティンブラス:成宮寛貴
- 序詞役:マメ山田
- マーセラス:土師孝也
- 隊長:大友龍三郎
- 紳士:伊藤哲哉
- 牧師:高瀬哲朗
- コーネリアス・黙劇の王:衣川城二
- バーナード・伝令:二反田雅澄
- フランシスコー・ルシアーナス:篠原征志
- ヴォルティマンド・黙劇の暗殺者・水夫:廣哲也
- 使者:矢野晴彦
- 劇中の王:木村雅
- 演奏:天野裕子,池上知嘉子,則包桜,中山理恵,渡辺理恵
- 翻訳:松岡和子
- 芸術総監督:諸井誠
- 芸術監督・演出:蜷川幸雄
- 装置:中越司
- 衣装:小峰リリー
- ファイト:廣哲也
- 音響:井上正弘
- 音楽アドバイザー:池上知嘉子
- 2001 年 9 月,彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
『ハムレット』の登場人物って,こんなにいるんだ.
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