鏡
今鏡に水鏡に大鏡.『鴉』までの六本中に三つの鏡.ちょっと多過ぎやしませんか.強大な経済的 (今,水) あるいは現人神的 (大) 支配力を持つにも関わらず,最終的に瓦解する (させられる) 存在.う〜ん,写るものと写させるものを相殺して 0 化する?
生き残り
『蛍』のエピローグにて.新聞記事として,発見されたのは佐世保と彼以外の学生たち合わせて 7 人の遺体で,「ただし女性一人の身許はまだ判っていない」.そして「唯一の生存者」.生者と死者を合わせて合計 8 人分 (麻耶雄嵩 "蛍", 幻冬舎, 2004, ISBN4-344-00664-X, p.350).生き残ったのは誰か.
その前のページまで生き残っていたのは,島原,松浦,平戸,大村,長崎の 5 人で全員学生.その時点での死者は佐世保,諫早の二人.合計 7 人だが,生き残っていた 5 人間で死者としてのフミエの存在は確かなものだったらしい.で,これで 8 人になる[残る一人が,当時学生じゃなかった小松響子の方だという可能性は,おそらく低い.彼女だっとしたら,屍蝋化していた,つまり次元の違うものが一つ紛れ込んでいたことについて何か一言あったんではなかろうかと.].うち,女性は 2 人.で,そのうちの女だが,この 7 人の死者の中で女が一人だけだったのかどうか.新聞記事の「女性一人」がただ一人の「女性」であったなら,生存者はフミエじゃない方の女ということになる.そうでないなら,男連中のうちの一人ということだ.
この話は途中まで諫早自身が語っていると思わせるように書かれているが,実は別の人物の視点から語られている.それが判るのが,あの 9 千鶴の最後の 3 行 (p. 197) なんだが.んで,やっぱこれを語っていた人物が生き残ったんじゃないかと思うんだが,どうだろ.
韓国版『黒い家』
韓国制作のリメイク版.筋はすでに判ってるし,無茶な作り替えはしてないので,ホラーというよりペイン.眼球に車のキー突き刺すし,断裁機で腕切断しちゃうしで,イタいんじゃなくて,痛い映画だった.若槻慎二がチェン・ジュノ,菰田幸子がシン・イファ,菰田重徳がパク・チュンベ.黒沢恵がチャン・ミナ,心理学者の金石克己がスンギュ,特殊調査員三善茂がマ・ヨンシクなどなど,となっている.マ・ヨンシク殺しはモノ凄く痛そうだ (笑).字幕は日本語訳されてるがテロップはハングルのまま.まったく読めん.前半の雰囲気はかなり佳い.あの「黒い家」はもっと孤立した場所に建ってないと,悲鳴とか異臭とかよそに漏れて困るだろと思うが,ご近所の血みどろ悪夢ということなのか知らん.蛇足ながら 6 号さんはホラー・ファン.
で,あのナイフ持った焼死体がシン・イファだとした根拠は何なの (笑).ラストに出て来る「心がない」女の子,原作ラストの「えらの張ったごつい顎」の男のアレンジなんだろうが,そこまですると原作の流れからすれば蛇足だと思うデス,はい.あ〜,倫理崩壊という意味でのモラル・ハザードな珍人類台頭という点では,こちらの方がよりエエのかも.
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