まず,疑問を.この「CD」って,ほんとに CD? CCCD じゃないの? どうも そうらしい けど.という前振りで 毎日新聞の記事.あ,敬称略.
で, Pe'z が佐藤眞の「混声合唱とオーケストラのためのカンタータ『土の歌』」(1962, 作詞: 大木惇夫) 第 7 曲 (終曲) の「大地讃頌」をアレンジして CD (CCCD) 化した.これを「編曲権と同一性保持権を侵害する
」とした作曲者の佐藤眞が CD 販売停止、演奏禁止を求め東京地裁に仮処分を申請
,発売元の東芝 EMI と Pe'z は請求内容を認め, CD (CCCD) を出荷停止,今後は演奏しないことを決めた,ということらしい.上記リンクから関係者の発言を拾ってみる.
- 佐藤眞
-
編曲権と同一性保持権を侵害する
Pe'z の音楽は、許可なく意に反して編曲したもので荘重な曲のイメージを著しく損ね、著作権者の権利を侵害した
余りにルーズに扱われる著作権や人格権に関し、その重要性を知らしめる意味でも、裁判で一石を投じたかった
- 東芝 EMI
-
演奏家の自由と独自の芸術性を否定するもの。特に即興を根幹とするジャズの存在にかかわる
- Pe'z
-
深い感銘を覚えた曲
片思いでした
Pe'z 側が頭を下げて引き下がった形になる.芸大教授がジャズマンを訴えたという形態なので,これだけだと佐藤眞が反感持たれそうだけど,そうじゃないのは上記のリンクにもあるとおり,「そもそも佐藤氏は自身の作品について一切の編曲を認めていない
」という一文.妥当性はともかく,オリジナルの作者がそう言うんなら,それを尊重せにゃ.レコーディング前かプレス前に礼を尽くして許諾を求めていれば,こんなことにならなかったんじゃないの? 許諾されるかどうかは判らんけど, CD (CCCD) 販売停止という事態にはならんかったろう.担当者たいへんだね.というわけで,今回の処置は当たり前,だと思いますデス,はい.で,次,次,どうぞ.
だがね,「自身の作品について一切の編曲を認めていない」ってのはどうよ,と思うわけだな.「著作権の扱いがあまりにもルーズ」なのに腹を立ててってことなら判らんでもないけど,「編曲するんなら許可を得よ」ってところまでは行かんかったんかね.こういう例ですぐ思い出すのが ELP だが,"Trilogy", 1972, で "Hoedown", "Works Vol. 1", 1977, で "Fanfare For The Common Man" と Aaron Copland の曲を演ってるけど,これらの CD は今もって入手可能.ちょっとぐぐったぐらいでは Copland の方が Keith Emerson のアレンジをどう思っていたかは判らなかったけど,少なくとも Emerson のリスペクトを Copland が認めたってことなんじゃないの? "Brain Salad Surgery", 1973, の "Toccata" では Ginastera の曲をアレンジして,しかもこれは Ginastera 自身から Keith Emerson has beautifully caught the mood of my piece.
という お誉めの言葉 を戴いているわけだ.エエ話だと思うけどね〜.音楽家同士,こんな具合には行かんもんかね.
作ってしまった作品は一人歩きする,ってのを否定してると思うわけよ.たまには別のかっこしたってエエぢゃん.
原曲もアレンジ版も知らんかった…… 探して聴いてみたけど,やっぱ聞き覚えないや.ま,それはともかく,このマキシ・シングル,もしかして将来価値が出るかも,なんて愚考してみたり.
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