- アラン・ガーナー "ふくろう模様の皿", 神宮輝夫 訳, 評論社, 1972, 1992, ISBN4-566-01083-X, (Alan Garner "The Owl Service", 1967)
ウェールズ神話起原の三人の人間悲劇を 20 世紀後半のウェールズ地方にマッピングして見せた誤解と無理解のドラマ.大昔読んだときはホラーっぽい描写にぞくぞくした記憶があったが,読み返してみるとそれは否定できんものの,もっと奥深いものが.階級意識も混入しているし,支配と被支配という構図も見えますな.『嵐ケ丘』の初代キャサリンとヒースクリフの面影もあるようなないような.えと,英国的狂気と云ったら佳いのでせうか.登場人物たちの行動が予期せずも読者にとっては既知の構図へ収斂して行くというスタイルはさすがにサスペンスフルですな.
カタストロフへと向かうクライマックスで羽毛が舞い狂うシーンは多分に映像的だなと思ったら,テレビ映画化されてるらしい.そりゃ観てみたいもんだな. NHK でやってくれんかな.と,けっきょくカタストロフには至らず,羽毛は花と化して救済に至り,同時に未来永劫続くであろうと思われた「場が生み出す悲劇」も解消されたかと思われるのだが.
どうでもエエけど,訳本の初版刊行は 1972 年,手元にあるのは 20 年後の 8 刷版.アマゾンで検索掛けると初版から 30 年経った現在も入手可能.評論社,偉い!
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