Repetition ではない.
- Terry Riley "in C / in Do(m) / in Moscow", Terry Riley Repetitition Orchestra, Long Arms CDLA 01033, 2001
14 番目の "in C" にして 2000 年 4 月 20 日のモスクワ DOM でのライヴ. pf, kbds, cl, trp, 3 vln, vlc, bar-gtr (フレットレス), bs, 3 perc, 5 voice という 18 人編成で,テンポは European Music Project - zignorii++ の Wergo 盤に似たゆっくりめだけど,フリーキーな声が五人も入ってるせいで, Atma 盤のようなお祭り気分.
このとき,モスクワ音楽院ラフマニノフ・ホールで第四回セルゲイ・クリョーヒン (Sergey Kuryokhin) 国際フェスティヴァルも開催されていて,そちらの最終演目でもキーボードを弾いていたらしい. DOM (ロシア語で,ビルとか家とかの意味) の Alternativa フェスティヴァルの方では二日に渡って出ていて,ソロの即興コンサートやベースとのデュオを披露したらしい.ソロの方は録音が出ている (Terry Riley: Moscow Conservatory Solo Piano Concert, CDLA 01032).
ブックレットによれば,この曲のソヴィエト初演は,なんとブレジネフ=コスイギン時代の 1969 年だったそうだ.、抑圧的文化的政策回帰の真っ最中である.ピアニストのアレクセイ・ルビモフが作曲者から音源とスコアを入手し,若いミュージシャンを集めて Bronnaya st. にある Amateur Art House で演奏したそうである.このとき,ステージ上には 10 人,客席はいたのは 3, 4 人だったそうである.その数人の中に 38 歳のグバイドゥーリナ, 35 歳のシュニトケがいた.お〜,なんかドラマティックな話だな〜.当時すでにデニソフが LP を入手していたそうだが,彼はミニマルには否定的見解を持っていたそうである.
以下,『in C』音源の演奏時間比較.一応リリース順.意味ねぇけど平均値は 46’56".スコアは pdf で入手可能 score with performance directions.
ソース | 演奏時間 | 備考 |
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Columbia 494983 2, 1968 88697 45368 2, 2009, remastered | 42’06" | 最初の Terry Riley and the Musicians の音源.基本.気負いがあるのか,速めのテンポ. 11 ensemble (pf, ss, ob, fg, trp, cl, fl, vla, trb, vib, marimba) |
organ of Corti 2, 1970 | 29’26" | サイケデリック・ビッグ・バンド形態のお祭り系其の壱.最初の二分半は↑と同じ曲とは思えん (笑). Mantra (based on In C) L'Infonie vol. 33, 19 ensemble (saxes, trp, perc, pf, gtr, bs, trb).テリー・ライリーの名はクレジットにない. "Reed Streams" ほかのフィル・アップなので,未開封状態のブックレット表は←ではない.リンク先を参照してください. |
Celestial Harmonies 13026-2, 1989 | 28’36" | 上海の民族楽器をふんだんに使った大陸的なサウンド.木物金物いっぱいで管もアタックが強いので派手め.テンポは遅めだけど,パルスとは別につねに鳴ってる打楽器のせいか異様に祝祭的というか迷宮的.ミックス・ダウンは Eno, 最初のコロンビア盤でトランペットを吹いてた Jon Hassell に TR 御大. Wang Yongji / Shanghai Film Orchestra. |
argo 430 380-2 (POCL-4089), 1990 | 20’01" | ピアノがメインの攻撃的なサウンド. Piano Circus, 6 ensemble (pfs, hpcd, viv). |
materiali sonori MASO CD 90070, 1995 | 41’04" | マレット系打楽器のみの丸っこいサウンド.ライリーがライヒ風に聴こえる (嘘言). 1 〜 41 の自筆譜 (?) コピー付き. Eddy de Fanti & Ensemble Percussione Ricerca, 5 ensemble of Mallet instruments. |
New Albion NA 071 CD, 1995 | 1:16’16" | お祭り系其の貳.比較的おとなしめだが,テリー・ライリー自身が声で参加してたり, Henry Kaiser がギター弾いてたり, Bang on a Can の Evan Ziporyn がバスクラ吹いてたりする.George Marsh のアドリブ・ドラムスがカッチョエエけど,いささか長い. January 14, 1990, 25th Anniversary Concert Live, 31 ensemble (saxes, perc, synth, voice, fl, vla, vln, trb, vlc, pf, gtr, drms, cl, accord, bs-cl). |
Cypres CYP5601, 2000 | 1:05’03" | ライヴだが超クール.カッチョエエ. Ictus + Blindman Kwartet: Live May 31, 1997, 12 ensemble (perc, bs, harp, vlc, gtr, pf, accord, ob, vln, cl) + Saxophone Quartet. |
ATMA ACD 2 2251, 2000 | 35’46" | お祭り系其の参.いきなり Daevid Allen 風の謡 (ホーミー込み) で始まる (謎).うよよ〜んの混沌の中からパルスが始まる.タブラ,シタールが入ってるので,いかにもなインド風味だが,この曲独自の重なりの妙には乏しい.パルスなしの折りたたみスコア付属.表はポスター. June 12, 1997, SMCQ's 239th concert live, 21 ensemble (ww, br, str, pf, perc, sitar, tabla) with choir (12), solo voice. |
cantaloupe CA21004, 2001 | 45’32" | Bang on a Can らしく鋭角的. Bang on a Can: November 20, 1998, Studio Live for broadcasting, 11 ensemble (vlc, glocken, viv, bs, mand, ss, pipa, pf, vln, gtr, perc, cl). |
Long Arms Records CDLA 01033, 2002 | 1:17’26" | あんま乱れないけど,お祭り系其の四にして最長不倒距離保持者.お祭りなのは声だけかも (笑). Terry Riley Repetitition Orchestras: Live Apr 20, 2000, at Moscow, 18 ensemble (pf, kbds, cl, trp, vln x 3, vlc, br-gtr, bs, perc x 3, voice x 5). |
Wergo WER 6650 2, 2002 | 1:00’47" | クール系だけど,打撃系が丸っこくてかなり聴きやすい.クラブ・シーンでも活躍中のサウンド・インスタレーション系ユニット zignorii++ が加わって Wergo から出ているのがミソ.スコアはパートごとに分解されブックレットに埋め込まれている. european music project, zignorii++, 8 ensemble (vln, vla, vlc, perc, el-pf, cor-angl, cl, as) + zignorii++ (electronics, perc). |
move MD-3262, 2002 | 57’03" | ひゅ〜じょん系.軟弱で詰まらないと思ってたけど,そんなに悪くないじゃん,軽快で耳触り佳いし.終わり方はヘンだけど (笑). re-sound, 10 ensemble (fl, cl, ss, as, voice, gtr, bs, perc, kbds, vln, vlc).トラック分割あり. |
ENJA - NOVA ENJ-9435 2, 2002 | 53’22" | エンヤ・レーベルからリリースされた,ハイ・スピード・ロック・バンドによるドスコイ花子的にハイ・テンションな演奏.勢い重視. The Styrenes, 7 ensemble (gtr x 4, kbds, bs, drms, viv).トラック分割あり. |
macaroni MCRN-006, 2002, 2006 | 20’34" | サイケデリック!. Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O., 6 ensemble, (voices, bs, synth, drms, gtr, vib). |
SeouRecords SRCD-1615, 2006 | 24’42" | 韓国のアンサンブルによるスーパー・クール.テンポはゆったりめだが,民族楽器が鋭角的に切り込んで来る. CMEK (Contemporary Music Ensemble Korea), 9 ensemble, 21 instruments (cl, bs-cl, vlc, gtr, viv, marimba, perc). |
Ars Nova 8.226049, 2006 | 55’19" | マリンバ以外はヴォーカルという珍しい編成. Ars Nova Copenhagen, Percurama Percussion Ensemble, 21 ensemble, (12 voices, 8 marimbas, vib).トラック分割あり. |
Brilliant Classics 8551, 2007 | 57’56" | 多重録音のピアノ,その他. Jeroen van Veen : pfs., トラック分割なし. |
番外編 | ||
Arthaus (DVD) 102041, 2005, (ナクソス) | 1’40" | Simon Rattle / CBSO のメンバー.テンポはめちゃんこ速い. 画面で確認できる範囲では,ラトルが marimba, 他に pf, fl, fg, harp, vln, trp, glocken, viv, perc. |
1) スコアに速度指定どころか楽器指定もないのでいろんな演奏形態が可能だというのは頭では判っていても,こうやって並べてみるとやはり壮観だな. 2) 最短が 20 分,最長が CD 1 枚ギリギリの 77 分と,演奏時間の差は実に四倍に近い.にも関わらず,いくら A が短くてもけして長いもの B の一部分ではなく, A もまた全体であるというアイディア.カントールの無限集合論とか思い出すべ?
で,こちらとしては,来年の二月か三月くらいに,フィールド・テストのつもりで女の子二人のピアノと MMM で共演できんかなと計画中.もしかしたら,あと二人増えるかも知れんが判らない.ま,そもそも,ポシャるかも知れないし (笑).
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