- アンドリュー・ヴァクス "ゼロの誘い", 佐々田雅子 訳, ハヤカワ文庫, 1999, ISBN4-15-079608-4, (Andrew H. Vachss "Down in the Zero", 1994)
バーク・シリーズ七作目にして第二期シリーズの劈頭を飾る作品なんだそうだが,これを借りて来たときの岸田文庫には六作目の『サクリファイス』はなかったのだ〜 orz.
『ブロッサム』同様に出張してお仕事だが,今回はメーン州.ニューヨークからだとボストンまでえいやで 2-300km 程度だから,だいたいその辺.周りはみなお上品ぶった金持ち階級 (上流階級ではない).そこに紛れ込んだ昔の知り合いチェリイの依頼でその息子ランディーのガード役といったところ.バークに頼むくらいだから,息子が何らかのトラブルに巻き込まれているというのは判ってるんだろうが,チェリイはスイスに行きっぱなしで話には出て来ない.今回は胡散臭気なファム・ファタル候補にファンシイとチャームという二人が出て来るんだが,ファンシイがストレーガ的に現れて来てブロッサム化する一方で,チャームの方はどんどん悪魔的な様子を顕し出して来てちょっとばかし期待させるんだが,最後 (「牙を抜かれる」ところね.その後の転落事故云々ではない) に大コケしてなんじゃこりゃ.
そんなんより興味深いのがバークとランディーの交流で,なんとバークが父親役を買って出てランディーをばっちり仕込んでいる.精神的にチャームに蹂躙されていたランディーがみるみる逞しくなって行くのである.というわけで,性的自動虐待は相変わらず根底にあるんだが,今回はランディーのおかげでかなり明るい雰囲気.まぁ,『凶手』のあとだから,そう感じるのかも知れんけど.
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