- アンドリュー・ヴァクス "ハード・キャンディ", 佐々田雅子 訳, ハヤカワ文庫, 1995, ISBN4-15-079604-1, (Andrew H. Vachss "Hard Candy", 1989)
バーク・シリーズ第四作.前作のベルの一件はまだまだ尾を引いているようで,バークはなかなか立ち直れない.話はベルの父親をおびき出して撃ち殺すシーンから始まる.以下,カッチョエエ台詞集.
- パンジイが暗い空に向かって咆哮した.悲しみと憎しみが一つになった吠え声だった. p. 17.
- おれは小さな女の子のようなベルの声を聞いた.「あたしを救ってよ」 ベルは頼む男をまちがってしまったのだ. p. 69.
- おれは暗闇を見つめたまま座っていた.二,三分どころか何年もたつのを数えて待った.それから煙草に火をつけた. p. 159.
- 死んでしまったようだった.そう,死んでしまったようだった. p. 182.
バークの鏡像であるウェズリイが登場する.彼を含め,今回の相手はタイトルのキャンディ,トゥレインの三人.ウェズリイ以外は従来のテーマに絡んでいる.よってトゥレイン,キャンディを潰すのはバークだが (実際にはキャンディを殺すシーンは出て来ないが,たぶんマックスが殺ってるはず),ウェズリイは殺せない.彼は己の暗部に閉じこもってしまう.具体的には自爆する.以下はジャニス・ジョプリンの描写.
おれはカーステレオにカセットを押し込んだ.ジャニス・ジョプリンだ.混じりけなしの発情ホルモンがサンドペーパーで漉されて流れてくるみたいだ.自分の苦しみを受けいれて,それを愛にねじ曲げてほしいと男に訴えている.魂を鉄条網に投げつけて,さいの目に切り刻んでいるようだ. p. 68.
暑苦しい音楽だということが佳く判る.バークはブルーズしか聞かないが,ジャニスがブルーズであるかどうか,個人的にはビミョ〜なところ.っつ〜か,キライです (笑).
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