- ジョン・ケージ, ダニエル・シャルル "ジョン・ケージ 小鳥たちのために", 青山マミ 訳, 青土社, 1982, 2006, ISBN4-7917-5082-9, (John Cage, Daniel Charles "John Cage, Pour les oiseaux", 1976)
もう三回ぐらい読んでますが (笑).ケージってば例の 4’33" があまりにも有名なんで,そのエピソード聞いた (読んだ) だけで判ったような気になってしまい,もう一人の有名なジョン同様に,ミュージシャンではなくてイノヴェイター程度だと高を括ってしまいロクに聴いたことがないというテイタラクでありました.たぶん音として聴いた最初は,高橋アキのピアノ・アルバムに入ってたヤツだが,これはクセナキスが強烈なので,『季節はずれのヴァレンタイン』の典雅な響きは掻き消されてしまうんだよな.というわけで,今回は他に高橋悠治やらシュライエルマッヒャーやらアマディンダ等を揃えて捲土重来 (笑).
その有名な例は,かの有名なハーヴァード大学での「沈黙」とともに,音の概念の拡張,つまり,楽音と騒音の垣根を取り払うというのが目論見かと思うんだが,実はそんなところで満足してない.作曲という行為から「わたくし」というモノをどこまでも排除する,それを追求していたということになる.あるがままの音,というのは,そういう何ものの制御も受けないという意味だろう.ただ,この「わたくしの排除」が音楽だけにとどまらないのが凄いところ.あの有名な Cage Smile (一柳彗によれば啓示微笑) の裏にはこういう精神が潜んでいるわけです.
0 件のコメント:
コメントを投稿