「愛で人を殺せるのなら,憎しみで人を救えもするだろう」 © アルテナさま.中の人がもっとも嫌っていた有名な台詞.
アルテナさまご自身によるソルダの歴史と目的の解説.畏れ多くも賢くもソルダ統轄本部の次期司祭長と目されるアルテナさまご自身の手を煩わすとは,なんとも勿体ないことで御座りまする.汝ら信民よ,頭を垂れて拝聴するが佳い.
ソルダの起源は,十世紀末に遡り,「この世界に復讐する.弱き者虐げられた者を助け,地上に正義を実現しよう」をモットーに結成された秘密結社.元々は絶対の秘密と忠誠の誓いを要求する何らかの宗教的背景を負ったものだったと思われる.宗教的背景は,司祭長職が最大の権力を得る云々の発言から,現在でも色濃く残っていることが伺える.
黒霧香の出現は 前回 の次回予告で明かされていたとおりだが,もう一つ,灰霧香とも称すべき第三の人格も出現.こちらは黒霧香から今までどおりの白霧香に状態遷移する際に発生する大量のページ・イン / ページ・アウトによってディスクがのたうち回っている状態のようで,極めて反応が遅い.瞳孔も全開状態 (ひょっとすると全閉状態かも知れん).白から黒へ推移する際も同じ状況に陥るとすると,いくらヌケてると言えどさすがに「パリの騎士たち」とやらに仕留められるであろうから,白→黒→灰→白と推移すると考えるべきか.
アルテナさまによるソルダの歴史の解説およびその見解
ソルダに関するアルテナさまの説明は七箇所におよぶが,そのうち公式見解とおぼしきものは初めの二つだけで,あとの五つはアルテナさまご自身による見解であろうと思われるので分けて示す.
- 歴史
- hist1; それは古い古い物語.千年も前に世界の姿を見た人々がいました.十世紀末,それは起こりました.権力を巡る醜悪な陰謀.大勢の人が殺されました. (この辺りから BGM が消える) 老人も幼子も (この辺りからエコーが掛かる).人が人に対してなし得る最悪の暴虐.人々はその極限を目の当たりにしました.何人かがその地獄を生き延びました.彼らは悟りました.人の世の本質を.地上は常に邪悪と絶望に満ちているのだと.生き残った人々は誓い合いました.この世界に復讐する.弱き者虐げられた者を助け,地上に正義を実現しよう.絶対の秘密と忠誠の誓い,ここにソルダが初めて芽生えたのです.
- hist2; ソルダの血は荒野に染み渡り,大河へと流れ込む.盟約を結んだ者たちは各地へと散り,社会の裏に隠れ住んだのです.
- 見解
- opin1; 愛で人を殺せるのなら,憎しみで人を救えもするだろう.
- opin2; 時代が移り変わろうとも,人の世は変わらない.地は哀しみに満ちて,人はただ悪を為す.なのに天は,天は何も語ろうとはしない.誰かが罪を背負わねばならない.誰が,罪を.
- opin3; 原初ソルダには二人の処女の姿があった.神に仕える身でありながら,あえて剣を執った二人の処女.その勇猛は幾万の騎士にも勝り,聖母の慈愛と死神の冷酷を併せ持つ.ソルダの司祭長の傍らに控える黒き手の処女たち.その名をノワール.
- opin4; ソルダの両手は二人の処女.ノワールの地位と名はその後も代々引き継がれた.汚れを恐れぬ処女たちによって.厳正に選び抜かれ,黒き糸で結ばれた二人によって.それは崇高な使命なのだから.
- opin5; 人は罪を犯す.如何に足掻こうとも逃れられない.それが人の業なのだから.ならばせめて,人のためにこの手を汚そう.原初ソルダがあえて犯した罪.それは人の業に対する贖罪.ノワールは罪を重ねる.業の歴史は繰り返される.際限もなく,永遠に.
- 「荘園」に関するクロエの註
- (荘園とは) この地上で唯一時の流れから取り残された聖地.ノワール継承の儀式はそこれで行われます.
併せて,「荘園」に関するクロエの註も付け加えた.
- part A サブ・タイトル前
- 霧香ナレーション. "les soldats". 0’20".
- 前話 回想,一回目の「黒き御手は嬰児の」でユニゾるところから〜ミレイユのインターラプト〜我に返る霧香. "premonition". 0’46".
- part A サブ・タイトル後
- (※) 月を見上げているミレイユ,霧香「お茶,冷めてしまったわ」. 第六話 A パート最後で使われていた不安のクレシェンド. 0’29".
- 舞台は「荘園」に飛ぶ.葡萄を摘んでるアルテナさまとクロエ〜籠一杯に摘んで嬉しそうなクロエ〜「しようのない子ねぇ」と言いたそうなアルテナさま〜舘に帰る〜食前の祈り (台詞がないので何を祈っているかは不明)〜質素な食事〜わがままクロエ,アルテナさまに「儀式の前にもう一度」とランゴーニュ写本原本の朗読をねだる[アルテナさまが語るソルダの 歴史一.]. "lullaby" のインスト. 1’45".
- アルテナさまの朗読の続き「ソルダの血は荒野に染み渡り,大河へと流れ込む」[アルテナさまが語るソルダの 歴史二.]〜ソルダの拡散と浸透〜ソルダ評議会の反アルテナ派四人の会談,ここで初めて「慈母アルテナ」という呼称が出る.「次期司祭長として最大の権力を得ることになる」との発言から,何らかの宗教的基盤を持つことが判る〜舞台は舘に戻る〜厳しい表情のアルテナさま,蝋燭を右手の親指と人差し指で摘んで消す〜クロエの寝室から退去〜先に引用した有名な台詞[アルテナさまが語るソルダへの 見解一.]〜謎の難民少女が戦災地を彷徨う.瞳の色からすると幼い頃のアルテナさまらしい〜左手に持っていた人形が落ちる.人形が象徴する何物かを捨て去った=わたしが罪を背負って地上に正義を実現しよう[ヴラディレーナ / バラライカ / 大尉殿と比べると興味深いかも.][アルテナさまが語るソルダへの 見解二, 見解三.].カメラは二人組のアジトへ〜ソルダの「試練」の事情を理解したミレイユの追い込みが始まる. "le grand retour". 5’03".
- ミレイユの追い込みに中断を掛ける霧香〜あえて続行するミレイユ〜. "les soldats". 0’25".
- part B
- クロエ出立に際してアルテナさま,儀式の日が迫っているので, 1) 「あの子に最後の道標を渡してあげて」, 2) 「あの子のお友だちにはただ教えてあげるだけで佳い」〜ミレイユの追い込みの続き.この時点でコルシカの娘ミレイユも候補者の一人であることをほんまに判っているのはアルテナさまだけ〜アルテナさま朗読の続き[アルテナさまが語るソルダへの 見解四.]〜クロエ出立を知った反アルテナ派評議会議員たち,「パリの騎士」たちとやらを二人組の元へ派遣する.取り込み作戦はもう諦めたのか[それはそうと,どうして反アルテナ派はクロエを狙わんのだろう.まずは子飼いの軍隊を潰すのが先決だろうに.].さらにアルテナの呼称に形容詞句が追加される.「かつて死を司ると畏れられた慈母アルテナ」〜襲われたアジト. "les soldats II". 2’18".
- 仮面なんぞを付けてる時点でお笑い担当確定の「パリの騎士たち」とやらをサクサク倒す二人組〜むっとした表情で書簡を読んでいるアルテナさま〜霧香は宙狩り撃ちを披露しながら八名,ミレイユは二度高屋根から転げ落ちそうになるが屋根滑り撃ちを披露して七名を倒す[曲撃ちとしてはこれが最後ですかね.ミレイユの方は「曲撃ち」ではないかも知れんが (笑). ].誰が倒したか判らないのが九名.全部で最低でも二十四名いた勘定になる[黒霧香に対抗するためか,ミレイユもいつになく凶悪な表情. ]〜アルテナさま,書簡を焼き捨てる[アルテナ不信任案でも提出されましたか.更迭か解任か.単に反アルテナ派からの通告か.それとも間者からの反アルテナ派の動きの知らせか.それが判れば,アルテナさまの暴走がいつ始まったか判明するんだけど.]〜試練にアルテナさまの朗読が被さる,「それは人の業に対する贖罪」[アルテナさまが語るソルダへの 見解五.]. "canta per me". 3’13".
- 全員倒して合流した二人組,ミレイユの相棒は黒霧香に変じていた. "salva nos" のア・カペラ版. 0’20".
- 灰霧香に推移〜クロエの最後の道標[今回のクロエの登場は, 1) 逆光で, 2) マントを羽織って, 3) 塔の上に危なっかしく突っ立っているという,ある種の真下アニメではおなじみのパターン. .『エル・カザド』でもこういうシーンが出て来るかどうかが楽しみ.].ミレイユに告げる,「でも,この子はもう還らねばなりません」〜黒を常態とし灰と白を除去するため,霧香の銃で灰霧香を撃つ. "premonition" の後半. 1’31".
- 吹っ飛ぶ霧香にフラッシュバック, 1) ブーケ家暗殺現場. 2) 銃を構えているちび霧香, 3) 床に落ちているソルダの懐中時計, 4) もう一回銃を構えるちび霧香,それを確認してほくそ笑むクロエ〜予測できないソルダの突拍子もない戦法に為す術もなく見守るだけのミレイユ.横たわる霧香,佇むクロエ,立ち尽くすミレイユ. "premonition". 0’47".
- 比率
- 16’57" / 20’40" = 82.0% (03’43").これは 第十話 を抜いて.今まででいちばん音楽含有率が高い.ついに八割りを突破.
ソルダの歴史とアルテナさまの見解が語られるので "les soldats" および "les soldats II" が出てくるのは当然としても,この回で目立つのは前回初めて登場した "premonition" の方.音楽の方はアルテナさまおよびソルダを信用していませんか (笑).その他, "le grand retour" も今回初めて登場.しかも 5’03" という大盤振る舞い.今までの最長は第九話 B パート頭の "salva nos" 4’06" だったが一分近く差を付けて堂々のトップ.この一曲だけで全体の 1/4 近くを占めている.この曲,途中で表情が何回か変わるが,絵と音楽は見事に合致している.
- 「祝福を受けし者 夕叢霧香 別れの朝,墓場にて 無明の朝」
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