「(人間は生まれたときに) 世の道化芝居がいやで泣く (When we are born, we cry that we are come To this great stage of fools:)」 © リア王.
郊外にある××風癲病院の古風な正門を過ぎた.見上げると,十二支を象った文字盤を持つ異様な大時計を頂きに持つ高い塔が聳えている.この時計は永久機関である.ってな感じで老人が登場する.老人はその眼付きで判るとおり,すでに世界の平衡からズレ落ちてしまっている.続いて看護婦が登場する.老人の足元から古い本を拾い上げ読み始める.ときおり笑っている.ヘンデルの『セルセ』のラルゴが響き渡る.他の登場人物たちが登場する.老人が緩やかに立ち上がり見得を切ると音楽が静まる.リア王となった老人が "Give me the map there" と声を発して悲劇が開始される.終わりは,読み続けている看護婦の笑い声.道化芝居はそんなに面白いか (笑).
一部スピーディな部分もあるが,ほとんどは例の能のようなゆったりとした動き.一方,台詞の方は字幕が追い付かなくなるようなスピード.極端に乖離している.
- 老人=リア王:トム・ヒューイット
- グロスター:ローレンス・バラード
- ゴネリル:トム・ブレアー
- リーガン:コリー・ハンセン
- コーディーリア:チャールズ・タトヒル
- エドマンド:エリック・ヒル
- エドガー:マシュー・A・ローニー
- 従者,隊長,小性:ラリー・G・マルバーン
- オズワルド:ジェームズ・デビータ
- オールバニ:デビッド・アッシャー
- コーンウォール:マーク・コーキンズ
- 看護婦=道化:ジェフリー・バー
- 演出・構成:鈴木忠志
- 照明:アーデン・フィンガーハット
- 音楽:ヘンデル,チャイコフスキー
- 衣装:鈴木忠志
- 字幕:岡喜一
- 字幕監修:高橋康也
- SPAC 公演
- 1988 年,富山県利賀村野外劇場
役者はすべて男.三姉妹もむくつけき髭面の野郎が演じている.
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