「なかったことになんてできないんだよ」 © モリウチアサコ.
ネルケプランニング:STAGE / 青山円劇カウンシル♯1〜RISE!〜「ウラノス」.
いきなりモリウチ家の庭に浮浪者風の謎の男登場で,麻耶雄嵩の『あいにくの雨で』的に始まる.青暗いステージで呻く男,カエに見付かって逃走.テーマが始まってタイトル.これが 80 年代ネオ・サイケみたいでかっちょエエ.ミステリかと思ったが,その庭,舞台右側にロープで囲われたどぉ〜んと深い穴.星新一の『おーいでてこーい』だった.とはいうものの軽い話ではなく,産業廃棄物.放射性廃棄物や使用済核燃料処理に絡んで殺人 (というか投棄) まで出て来る重い内容.「鬼の口」という単語には思わず雛見沢村 (鬼ヶ淵) を連想してしまうが,遠からず (最短で 50 年後) 雛見沢症候群ではない雛見沢大災害の方のひぐらし状態に陥るかも.
通称「鬼の口」,モリウチ家の庭にある.地下 4m に位置する直径 1m の円形をしたもの,厚さは計測不能なほど薄い.形状はフラフープ.上から入ると飲み込まれる底なしの穴.下からは存在しないのと同じで素通し.発見されたのは 1796 (寛政八) 年.神社が建てられて祀られて,不吉なものを棄てる穴としてしようされた.不吉なものとは,疫病による屍体,死産,流産した赤子など.凶作の年には家畜も捧げた.この風習が始まって数十年後,村は祟りに襲われる.黒い雨,疫病蔓延.鬼の口を要石で塞ぐも効果なし.この「鬼の祟り」で村は壊滅.以後,村の生成と破壊が繰り返される.村で起こった 50 年前のリンチ事件では,夫婦二人がここに投げ込まれた.というのが基礎知識.なんか伝記ミステリみたいな感じでもある.
失踪して九年経つというアサコとカエの父,このモティーフはどうなったんだ.ラストで天から降って来る頭陀袋はちょいと衝撃的.ということは,アタマとケツで二回落ちて来る『そよそよ族の叛乱』もそうだったんかな.あちらは袋に入ってない分もっとびっくりするかも.ヤグチの豹変は『振り子』のデ・アンジェリス警部みたいで,なかなかドラマチックな連想をしてしまう (笑).ところで,第二のミウラになるであろうソガが返って来たとき,状況はどうなってるんでしょね.
- モリウチアサコ (姉,在東京):酒井美紀
- モリウチカエ (妹):川村ゆきえ
- ミウラ (謎の男):大河内浩
- ソガ (村役場勤務,アサコの友人):中野英樹
- カネダ少年 (老人ホームのスタッフ,共感覚 + αの持ち主):津村知与支
- ヤグチ (婦人警官):岩本幸子
- ヤクモ (弁護士):土屋裕一
- フルハシ (教授):今井朋彦
- 作:前川知大
- 演出:青木豪
- 美術:田中敏恵
- 音響:青木タクヘイ
- 舞台監督:筒井明善
- 青山円劇カウンシル #1 〜Rise!〜
- 2008 年 2 月 9 日,子どもの城,青山円形劇場
いっつも思うんだが,「放送上,音声に一部不適切な表現があるため処理しています」って,たぶん主として「キチガイ」のことだと思うけど,抜いた処理のためにあるはずの台詞が「ない」ことが目立ってしょうがない.もうエエ加減にこんな無駄なことやめりゃエエのに.
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