- 麻耶雄嵩 "名探偵 木更津悠也", 光文社 カッパ・ノベルス, 2004, ISBN4-334-07564-9
木更津悠也を主人公にした連作短編集といいたいところだが,木更津の連れで物書き,デビュー作で今鏡家の夕顔と結婚した香月実朝が,フィクサーとなって木更津を巧いこと操縦して解決を図る形態になっている.掌上で戯れる (ミステリに遊戯する) 木更津を香月が見ているという構図だが,その香月を見ているのは誰だろう.最後には作者自身にブチ当たるのはしょうがないとしても,それに至る段階までに,まだ幾足りか潜んでいるような気がするのだが.
読み物としては,どちらかというとメルカトル鮎 (『メルカトルと美袋のための殺人』, 1997) の方が見てて楽しいが,こちらには強烈な悪意が潜んでいるんで,面白さという点では,まぁ大差ないな (笑).
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