- アンドリュー・ヴァクス "クリスタル", 菊池よしみ 訳, ハヤカワ文庫, 2001, ISBN4-15-079610-6, (Andrew H. Vachss "Choise of Evil", 1999)
シリーズ十一作目.警察のガサ入れで自宅を失い,それとは関係ないゲイの集会を銃撃した事件で前作からのクリスタル・ベスを失ったバークが銃撃事件の犯人を追うお話.その犯人とやらを追う過程で「ホモ・エレクトス」なる殺人者の影が見え隠れ.そいつが狙うのはゲイ虐待者だけではなく児童虐待者も血祭りに上げるということで,バークの敵と重なり合う部分があり,さらにはその手口にはウェズリイに酷似していると,なかなかに謎な展開.それゆえか,いちばん面白かったのは最終部へとなだれ込む,ホモ・エレクトスのモノローグ.一方通行の電脳対話に添付されているホモ・エレクトス側からの長い長い告白のようなもんである.いやぁ,正直,アンジェリックはホモ・エレクトスといっしょにいた時間の方が幸福だったと思うよ.この辺りは,なんとなく『Gunslinger Girl』を思い起こさせるな.もう一つの人格ゾーイがどうなったかは本編を読んでからのお楽しみ.初期作を除けば,いちばん興味深かったかも.バークはハイテク機器には弱いようですな.
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