ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年7月24日月曜日

Steve Reich "Piano Phase", "Drumming", "Six Marimbas", "Music for 18 Musicians"

  • Steve Reich "Piano Phase", (1967), Double Edge, Nonesuch 79451-2 (disk 1), 1997.
  • Steve Reich "Drumming", (1971), Steve Reich and Musicians, Nonesuch 79451-2 (disk 2), 1997.
  • Steve Reich "Six Marimbas", (1973-86), Steve Reich and Musicians, Nonesuch 79451-2 (disk 3), 1997.
  • Steve Reich "Music for 18 Musicians", (1976), Steve Reich and Musicians, Nonesuch 79451-2 (disk 4), 1997.

こうして幾つか聴いてみると, 1971 年の『ドラミング』までは 1965 年の『It's gonna Rain』以来の位相的なズレを利用していたのに, 1973 年の『六つのマリンバ』から,いわゆる「a.v.s. (accelerando very slightly)」を使わなくなって,ズレなしにいきなり次のパターンに入るようになっている.パターンの入りも,『マリンバ』までは目視を利用してたようだが,『十八人』になると,ヴァイヴがキューを出す役割を与えられており,暗譜してれば眼を閉じていても演奏できるっぽい.でもすべての小説の繰り返し数を覚えておくってのはふつうの人間にゃ無理だけど (笑).それに一小節を同じ音を繰り返しているような構成でどうやって覚えるっちゅ〜ねん.

ズレを利用しなくなって見られる特徴.

  • 全員が同じフレーズを共有するということもなくなっている.ズレは意図的というか,すでに譜面に書かれた状態として聞き取るようになる.
  • 入りと出は fade in / fade out を使う.

贅沢になったとも言える (笑).『ピアノ位相』では,演奏時間 20 分の曲が実質的に 12 / 16, 8 / 16, 4 / 16 拍子の三つのフレーズだけでできている.まぁ, 8 と 4 のフレーズは 12 のフレーズの一部分でもあるわけで,そうなるとただ一つのフレーズのみで構成されている,ということになる.最小の投資で最大の利潤を狙っていた 漢気メイド@橘玲 なら喜びそうな作曲法である (笑).『ドラミング』では増えているが,『マリンバ』以降のように豊富なヴァリエテがあるわけではない.考えてみれば,ズレを利用する作曲法では,一度進行が始まってしまうとそのプロセスは自律的に推移して行くから,そこに作曲者が介在する余地はもはやない.極言すれば,フレーズを一つ書き下ろしたとたんに作曲終了というわけである.スコアを見ても『ピアノ位相』は見開き二ページしかない.演奏に 16 分掛かる『マリンバ』は 12 ページ,一時間以上掛かる『十八人』では 234 ページとなっている.まぁ,それはこの方法の極限である『振り子の音楽』(1968) ですでに自明のことではあったのだが.その辺の推移の事情ってぇのはライヒ自身の 書き物 を読めば判るのかな〜.

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