- ローレンス・ブロック "砕かれた街", 上下巻 田口俊樹 訳, 二見文庫, 2004, ISBN4-576-04128-2, ISBN4-576-04129-0, (Lawrence Block "Small Town", 2003)
ノン・シリーズもの.例の九一一事件 (同時多発テロ) の一年後,ニューヨークを騒がせる連続殺人事件の顛末.そこに展開するニューヨーカーの群像.ページを繰らせる力は相変わらずだが,まぁ,訳者もあとがきで書いているとおり,ひたすら「長い」.厭きさせないためか,画廊のオーナーであるスーザン・ポメランスを中心に据えた一穴共産主義者たちの狂乱の性はジェラルド・ダミアーノの『ミス・ジョーンズの背徳』みたいに同時多穴性交 (要するに 3P) を繰り返すが,脂っ濃過ぎてちとげんなりする.唯一の頼みの綱であるツイードの帽子の男も,散々っぱら期待させておいて最後の最後でヘタレであることを暴露.一気に脱力する.なんでこんなに詰まらんのだろう.話は簡単,九一一事件をもってすら,ブロックの描くニューヨーカーたち (つまりはブロック自身) を反省させることはできなかったのだ.
結論.ブロックはスカダー・シリーズとケラーのシリーズがあればあとは要らない.
これで 五月の四谷宴会 で岸田文庫から借りて来た書物は全部読了.
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