維新派 オフィシャルサイト. 2006 年 9 月 11 日に NHK 教育 芸術劇場 で放映された,2006 年 7 月 16 日,梅田芸術劇場メインホールでの日本凱旋公演.個人的に,維新派といえば内橋和久,ということになってるんだけどずっと未見だった.テレビ放送とはいえ,ようやく観ることができた.ずいぶん長い時間が掛かったな〜 (笑).
- 作・演出:松本雄吉
- 音楽:内橋和久
- 美術:黒田武志
- 少女a:小山加油
- ワタル:まろ
- レッサーパンダの帽子の少年:岩村吉純,森正吏,水戸洋志 (木戸洋志が 正解. NHK エエ加減)
- 長いつばの帽子の少年:石本由美,エレコ中西,江口佳子,尾立亜実,境野香穂里,土江田賀代
- ちぎれた記号の少年:升田学,藤木太郎,坊野康之,イルボン,西塚拓志,金子仁司,小崎泰嗣,石丸史夏,大石美子,大形梨恵
- 海の少女:平野舞,石黒陽子,稲垣里花,中麻里子,辻本真岐,田口裕子
全 10 景なんだが, M ってのは movement の略なのかな.ええと,台詞,ありません (笑).ヂャンヂャン☆オペラという形態は「関西弁を基調にした素朴な芝居部分と、分解した言語を変拍子のリズムにのせて再構築する舞踏部分とが交錯する、独特の劇形態」だそうだけど,今回は会話なし.そもそも完全な文章が一個も出て来ない.すべて断片である. 維新派とは[ 喋らない台詞、歌わない音楽、踊らない踊り ]‖history‖維新派 オフィシャルサイト.
- M1 うたたね : おおむね四拍子.喧騒の街からひとりドロップ・アウトする少女aの入眠と目覚め.時代劇が好きらしい (笑).前半の喧騒のアンサンブルが「ひょっとして大丈夫じゃないんじゃないか」というデキで (裏打ちのリズムが全然合ってない),ほんとにダイジョブなんでしょうか.
- M2 まちかげ : 七拍子 (4 + 3).箱を抱えてうろうろしているワタル.少女a,右手に墓参用の花.ワタルの墓への遠い道 (実際は遠くないらしいんだが).爆弾少年と対峙する少女a.飛行機の爆音.
- M3 かげぼうし : 拍子不明.ハンマーを振るう影.レッサーパンダ帽子少年の通り魔ナイフ殺人.ワタルも刺される.またもや爆弾少年と対峙する少女a.飛行機の爆音.
- M4 つむじ : 四拍子.おそらく墓地.ビルがあっという間に墓標.蝉時雨.お〜いという呼びかけに応えて現れる魍魎群.裏打ちが合ってねぇよ.この魍魎,墓石らしい.振り向くとワタル.麦わら帽子を持ってかれる.
- M5 かげろう : 七拍子 (4 + 3).麦わら帽子を巡る追い掛けっこから再会.紙飛行機の少年.松葉杖の少年.キツネ面の少女.墓石の行進.「電信柱歩いた」,「電信柱倒れた」,「電信柱切った」.
- M6 ひだまり : 四拍子.「電信柱,電信柱,電信柱が歩いた歩いた」.
- M7 かはたれ : 四拍子.夕暮れ時.もしかしてギターかな.コーラス・ラインに相当するのかな.電信柱の後を追うワタル.一人残される少女a.箱を奪われる.鳴り響くクラクション.急停止音.
- M8 ほかげ : いきなりサンプリングの嵐.五拍子 (2 + 3).コーラス繁盛.少女aを探すワタル.影絵.箱を持ってまだ逃げている少年.麦わら帽子を拾い上げる (ワタルの) 影.その後に少女aを助け上げ,麦わら帽子を手渡し,去る.
- M9 つきかげ : コラール.その次は七拍子 (4 + 3? 3 + 4?).レッサーパンダ帽子少年の通り魔ナイフ殺人.刺されそうになる少女a,身体を張って止めるワタル.黄色い月,流れに飲み込まれるワタル.飛ばされる麦わら帽子.少女aの帰還.宅急便.開けると麦わら帽子.
- M10 ひざし : 目映い外は七拍子 (4 + 3).箱をたくさん抱えたワタルに佳く似た少年とぶつかる.箱が一個落ちる.拾い上げる少女a.高まる蝉時雨.差し出す少女a.舞台止まって暗転.
- カーテンコール : 7 分弱の四拍子.これが有名な「カーテンコール」ですか.蒸気機関車.当然ながらライヒとはぜんぜん違う.もちろんオネゲルでもない (笑).「路地の蒸気機関車」からの一節だそうだ (※).
正直,演奏者としての内橋和久という名前に引かれて聴いてみたら拍子抜けするんじゃないかな.劇伴は極めてシンプル.ときおり妙な音色使うとるとはいえ,基本的にリズム一発で,みょ〜んってな風のダクソフォンで上モノが鳴っている感じ.らしかったのは M8 冒頭のサンプリングぐらい.カーテンコールの「路地の蒸気機関車」も声を伴ったリズムは圧倒的だけど,妙に明快です (笑).まぁ,グギャ〜ングギャギャギャギャジュアユアユヨ〜ンとかやられると耳の方に注意が集中しちゃって舞台上でのできごとを見失う怖れがあるかも. 維新派 ナツノトビラ.
あと,会話どころか一般的な意味での台詞がないので想像力が問われます.よって疲れます.面白いからエエけど (笑).同じようにミュージシャンの名前で放送観戦したものでは 2004 年 1 月 4 日の演劇実験室◎万有引力による『さよならの城』があるけど,あれよりはオモロかったですわ. 維新派 は自分たちの舞台をいろいろ 映像化 してるようなので,そのうちに他のも観てみようかと.最新の『キートン』は「ハイビジョン5.1Chで収録」だそうですよ.
以下,デリられ回避用.
大阪南港での野外公演など、ダイナミックなパフォーマンスで定評のある松本雄吉率いる維新派。今回はメキシコ・ブラジル公演で好評を博した「ナツノトビラ」を梅田芸術劇場メインホールで日本凱旋公演する。光と影が織りなす鮮烈な舞台を紹介する。
●(内容)
主人公の少女aは夏休みの間、マンションの自分の部屋で一日中テレビばかりを見て過ごしている。テレビを見ながらうたた寝をしてしまった少女aの夢の中にテレビのスポーツ番組やドラマ、ニュースの映像が現れる。この少女の夢から舞台は始まる。 やがて目覚めた少女は、去年事故でなくなった弟のワタルの墓参りに出かける。弟の墓地は、周りをビルに囲まれた小高い丘の、都会にはちょっと珍しい場所にある。途中の道で、戦闘機や戦車の影に驚かされるが、実は子供のおもちゃの飛行機や戦車の影である。しかしテレビ漬けの少女aには、それが実像なのか虚像なのか、区別がつきにくい。突風が吹き、辺りの風景が一変、そこに、死んだはずの弟、ワタルが現れる。 そして二人は、夏の強い日射しが作る濃い影の街を走り出す。
<脚本・演出> 松本雄吉 <音楽> 内橋和久 <美術> 黒田武志 <出演> 升田学,岩村吉純,鹿田大樹,藤木太郎,坊野康之, 森正吏,水戸洋志,西塚拓志,イルボン,金子仁司, 小崎泰嗣,石本由美,平野舞,エレコ中西,石黒陽子, 小山加油,石丸史夏,稲垣里花,江口佳子,中麻里子, 尾立亜実,境野香穂里,大石美子,大形梨恵,辻本真岐, 土江田賀代,太田翔子,まろ,田口裕子 <収録> 2006年3月16日(日) 梅田芸術劇場メインホール
※ この収録日は実は 2006 年 7 月 16 日が正解らしい.キャストも一部変わっているそうである.NHK放映「ナツノトビラ」キャストについてのお詫びとお知らせ ‖ information‖維新派 オフィシャルサイト.エエ加減な仕事すんなよ, NHK,あと,ちゃんと訂正しとけ.
維新派の名前はずいぶん前から耳にしていたけど,音楽担当の内橋和久氏の名前はそれ以前から.どれぐらい昔かというと「パソコン通信」最後期 (笑).某巨大「ネット」に某隔離室なんてとこがあってとか,もっと閉鎖された狭い空間で異様に濃い話を聞かされたりとか,そうそう TGI がプライヴェイト・フォーラムで SmalltalkAgents のサポートやってた頃.そのちょい前だったか,富士ゼロックスがアップル製品を売るようになって,その販促で全国でイベントやったのだが,そのときの広島でスタッフ参加したイベントで.なんか Think C や今は亡き Wingz でヴィジュアライゼイションのデモとかやったような記憶がある.このイベントで音楽系で来てたのが内橋さん.打ち上げのとき尋ねてみたけど,大友良英の代打だったそうな.当時の名刺ももらっとります (笑).その後は Ground Zero のライヴとか,広島現代美術館でのソロ・ライヴとか聴いとりますな.ま,イベント当日までは全然知らんかったんだけど,いきなりグギャ〜ン,グギャギャギャギャ,ジュアユアユヨ〜ンってな音響がたいして広くない会場に響き渡るわけですよ.思わず接近すると,あんときのマシンは何だったかな〜,あの頃 PowerBook って出てたかな〜,す〜っと後に Ground Zero で観た千野さんは PowerBook 使ってたけど,こんときの内橋さんは何だったけかな. SE/30 系だったかも知れんけど,よく覚えてないや.足元と机にはエフェクタの山,山,山.ギターはトレードマークの SG.アンプは忘れました.スーツ姿の連中は音が鳴ったとたんに引いてましたねぇ (笑).おかげで間近で観ることができました.その後は Altered States, Ground Zero とかソロのアルバムとかをちょこちょこ買って聴いとりました.
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