先週の仮面劇 (ピッコロ座) に続き,今週は京劇! やるな,NHK.モノクロ & モノラルで,しかも劇中にコメンタリーが入るというとんでもない構成だが (笑).しかし,半世紀前の録画がちゃんと残ってるんだな〜.オケが幕の影に隠れてまったく出て来ないのは残念至極.映画の方の張國榮版『覇王別姫』にはオケが出て来たっけか.両の目から鼻の頭までを白くぶっとく塗りたくってるのは道化の徴だそうである.京劇における化粧というか塗りというか隈取は「瞼譜」と呼ばれるそうだが,武張ったソレは,むしろインドの古典演劇のそれとかなり近い感じがする.女形の瞼譜とはぜんぜん違ってて,もはや人の態を成してないと言うか (笑).元はやっぱり仮面なんだろうが,能面とは違って,なぜに塗る様式になったのだろうか.歌舞伎もその名とは違って冠るんじゃなくて塗るもんな.
三岔口
- 任堂惠:李少春
- 劉利華:谷春章
- 劉妻:徐玉川
- 焦贊:余元竜
- 木っ端役人二名
- 1956 年,歌舞伎座
やっぱ生オケだけあって,アクロバティックな李少春の所作と音がピタリ一致するな.任堂と劉の二人の暗闇でのコミカルな探り合い.お〜,香港アクション映画のルーツの一つは京劇か,考えてみりゃ当たり前だが (笑).
貴妃酔酒
- 楊玉環 (楊貴妃):梅蘭芳
- 高力士:孫盛武
- 裴力士:姜妙香
- 女官八名
- 1956 年 5 月,歌舞伎座
タイトルまんま.玄宗にすっぽかされた楊貴妃が憂さ晴らしに呑んだくれてクダを巻く話 (笑).こんなんで一本作っちまうのか.寡聞にして知らんかったが,梅蘭芳という人,いわゆる国宝級の名女形だったそうで.あれ,と思って探してみたら,『二堂舎子』の CD が出て来たが,これのヒロイン王桂英役が梅蘭芳その人だった.菊壇經典シリーズの "二堂舎子", 中国唱片上海公司 SCD-172, 1995, がその CD で 1955 年のライヴ録音.古典はブックレットを眺めても全然筋が判らん (笑).その点,革命京劇の『紅燈記』 (中國廣播音像出版社, CDT-9404/5) はなんとなく筋が判るがな.
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