「オイシャサン,ハ,イマセンカ」 © ドットーレ.イタリア語の洪水の中からいきなり日本語が聞こえてくるとびっくりするな (笑).
原作は コメディア・デラルテ 末期の作品.手前に蝋燭,奥に布製の書き割り.舞台上の小道具は必要最小限.せいぜい,椅子,テーブル,トランクとかそんなもん.歌あり,踊りあり,軽業あり,男装ありと盛り沢山だが,動きと台詞の量が半端じゃなくもの凄い.感覚としては「24 の hitomi」に動きを付けて二時間突っ走る感じ.イタリア語のオペラはともかく,芝居というのは初めてだったんだが,オペラの会話部そのままのスピード感だった.モーツァルトというよりロッシーニ.もちろんのべつまくなしに早口ってこたぁない.恋の場面や嘆きのシーンはそれなりにゆったりするが.背景が吊るしてあるだけなんで,場面転換がおそろしくスピーディ.っつか,布製であることを逆手に取って,ふつうあり得ないような入退場とかもやってる.もともと伝統的即興喜劇なんで仁輪加的アドリブ満載.日本語も飛び出るどころか,「志村,後ろ,後ろ!」まで出て来る (笑).言葉だけでなくヴィジュアルな要素もてんこ盛り.とくに第二幕.昔のトムジェリのスピード感や,とくにヴィジュアル面ではモンティ・パイソンへの木霊も聞き取れるように思う.筋はもう典型的なブッフォそのもの.すべての出来事が一日の間に解決して,三組のカップルが出来上がる大団円に至るのも基本に則っている.しかし,ブッフォがこんなに過激でモノ凄いものだとは思わんかった (笑).最後は客席も巻き込む.
- アルレッキーノ *:フェルッチョ・ソレーリ
- パンタローネ *:エットーレ・コンティ
- クラリーチェ (パンタローネの娘):スザンナ・マルコメーニ
- ドットーレ *:エンツォ・タラーショ
- シルヴィオ (ドットーレの息子):ロベルト・シュヴァリエ
- ベアトリーチェ (フェデリーゴの妹):アンナ・サイア
- フロリンド (ベアトリーチェの恋人):フランコ・グラツィオージ
- ブリゲッラ (吃りの料理人) *:ジャンフランコ・マウリ
- ズメラルティーナ (クラリーチェの侍女.コロンビーナに相当):マリサ・ミネッリ
- 宿屋のボーイ:エリオ・ベッレール
- 作:カルロ・ゴルドーニ
- 演出:ジョルジョ・ストレーレル
- 美術:エツィオ・フリジェーリオ,レオナルド・リッケッリ
- 音楽;フィオレンツィオ・カルピ
- パントマイム:マリーゼ・フラッシュ
- 仮面制作:アムレート・サルトーリ
- ミラノ・ピッコロ座 (PICCOLO TEATRO DI MILANO - stagione 2006-2007)
- 1979 年,新宿文化センター
- 訳:田之倉稔
- テレビ台詞:金丸美南子
* はマスク・キャラ.ショルティが振った『フィガロ』 DVD の演出がストレーレルだったんで,てっきりオペラの人かと思ってたが,もともとブレヒトの弟子だったそうである.しかし,この台詞の量,字幕制作は大変だったろうな〜.実際は鳴ってないのに,チェンバロのオブリガートが聴こえて来るのはなんでだ (笑).
原作は "Il servitore di due padroni".アルレッキーノの衣装は,このページの画像そのまんま.初演は 1753 年というから,ちょうどオペラ・ブッファが幕間劇から独立しだす頃.ゴルドーニもガルッピと組んで幾多のオペラ・ブッファを世に送り出している.ゴルドーニの戯曲の翻訳は一巻もののデカい箱入り本が出てるが,それにはこの作品は収録されてなかったと思う.
ちなみに,カーで有名な「パンチとジュディ」のパンチは,やはりコメディア・デラルテ劇の常連,プルチネッラが元らしい.
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