ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2008年6月29日日曜日

井上ひさし『ロマンス』こまつ座 & シス・カンパニー 2007

「医師と強盗は場数です.場数を踏めば踏むほど,メスとドスの扱いが上手くなる.今から心配しなくて佳いですよ」 © 壮年チェーホフ.

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井上芝居,「打って変わって」というほど観てる訳ではないんだが,今回はチェーホフ評伝ベースのヴォードヴィル調「音楽劇」.歌芝居というほどではないが,けっこうソロ,アンサンブル取り混ぜて歌が入る.頭から歌で,正直あやややという感じだったが (笑).お話はチェーホフの生涯をなぞって行く.スタニスラフスキーやダンチェンコ,トルストイらも登場.オリガはモスクワ芸術座の旗揚げにも参加したメイエルホリドと同窓だったらしいが,彼は出番なし.もちろんゾーシチェンコなんか出て来ない.ヴォードヴィルというぐらいだから,伴奏は多少くたびれた感じのアップライト・ピアノ一台で全部こなす.途中,ムソルグスキーの旋律もちらほら.「全生涯を兄に捧げた妹」ということで,ニーチェの妹みたいなのを予想してたが外れ (笑).何か台本が出来上がったのが初日の二日前だったとかだそうで,いや〜,書く方もだけど演じる方やスタッフもストレス堪るだろうな〜.

  • オリガ・クニッペルほか:大竹しのぶ
  • マリヤ・チェーホワほか:松たか子
  • 壮年チェーホフほか:段田安則
  • 青年チェーホフほか:生瀬勝久
  • 少年チェーホフほか:井上芳雄
  • 晩年チェーホフほか:木場勝己
  • ピアノ:後藤浩明
  • 作:井上ひさし
  • 演出:栗山民也
  • 音楽:宇野誠一郎
  • 美術:石井強司
  • 照明:服部基
  • 音響:秦大介
  • 衣装:前田文子
  • 振付:井手茂太
  • 歌唱指導:伊藤和美
  • 舞台監督:三上司
  • ポスター写真撮影:篠山紀信
  • 2007 年 9 月 19 日,世田谷パブリックシアター

最初のアンサンブルで,調子っ外れというわけではないけど,一人だけ突出してブチ壊してる感じだった大竹しのぶ,詐欺婆さん以降の縦横無尽の芝居で納得.これは大竹しのぶによる大竹しのぶのための芝居だったのかも.すんません,ナメてました[そういや 2002 年の野田秀樹作・演出の一人芝居『売り言葉』も凄かったよな〜.] orz.チェーホフ役では出番が長かった段田安則,さすがに安定してますな〜.木場勝己の重厚さ,生瀬勝久の「事故」も楽しい.あっさり味だけど,やっぱ井上芝居は面白い.

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