- エラリイ・クイーン "災厄の町", 青田勝 訳, ハヤカワ文庫, 1977, 2007, ISBN978-4-15-070112-3, (Ellery Queen "Calamity Town", 1942)
記念すべきライツヴィルもの第一作は Cio-Cio-San の犯罪.『十日間の不思議』や『緋文字』でもそうだが,犯罪の現場に探偵が出向くのではなく.探偵が立っている場所で犯罪が起こるという形態になっている.つまり,探偵は,ある力場にエネルギーがたまり,犯罪という形で現われる現場に立ち会っている訳で,ライツヴィルものが人物描写に比重を置いているのは,とりあえず,その初期段階では構成がそれを要求していたと言えるのかも.
訳者あとがきで「本書が書かれたのは一九四一年ころと思われるが, (中略) 作品の上には戦争の陰影はあまり顕著には見られない」とあるが,その辺りは,ライト家を排除する構造や魔女狩りに通じる心理に現われてないだろうか.
やや非常識な若い女が出張るのは,もはや定番か (笑).
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