「誰だ,誰かそこにおるとか.気のせいじゃ,誰もおりゃせん.誰も.けれどおいは,おいは.陛下,陛下,何ぞ仰って下さい.伊平治であります.村岡伊平治は陛下の忠良なる臣民であります.畏れ多くも陛下を父上と思うとります.何ぞ一言この伊平治に仰って下さい,陛下.陛下」 © 村岡伊平治.
三幕構成.年譜によると初演は 1960 年だそうである.ウチにあるのは『マニラ瑞穂記』,『常陸坊海尊』,『かさぶた式部考』の三本だけだから,これより後のヤツばっかということになるわけか.しかし,秋元松代の芝居が録画で見られるとは思わんかった.しかも 1994 年の公演と,比較的新しい (笑).時代は明治中期.舞台は清國天津の島田理髪店から厦門を経てシンガポールの村岡南洋開発公司まで飛ぶ.主人公の村岡伊平治は実在した人物で,アジアを股に掛けた女衒.緒形拳が主演した今村昌平監督の『女衒 ZEGEN』は彼の自伝が元ネタになっているそうである.へぇ〜.明治の人間 (作者も明治 44 年生まれ) は燃えるような気骨があるよな〜.まぁ,方向性はともかく (笑).主役を演じている てらそま昌紀は『大江戸ロケット』の天天の人.
- 村岡伊平治:てらそま昌紀
- 梅村巳之助 (掏摸):田村貫
- シンガポール公使:兼松正敏
- 伊藤博文:矢野宣
- ぐず吉:伊藤克
- 西山 (強盗放火):大木正司
- 豚吉 (伊平治の右腕):伊藤初雄
- 市平 (公司の参謀役)「仕方ありませんでよ.五百両がとこ桟橋から捨てましたわ」:立花一男
- 半蔵 (円形脱毛,前科者係長):若尾哲平
- 上原中尉:柳川光良
- 日本領事:志村要
- 宝川 (強盗強姦):星野元信
- 片山 (ヒゲオカマ,婦人取引係長):後藤健
- 立石 (詐欺横領姦通):巻島康一
- 外国船員:川井康弘
- 山田 (婦女誘拐人身売買):?
- おかよ:馬場恵美子
- シズ子:庄司美代子
- マサノ:徳永街子
- ツヤ子:五味多恵子
- しお子:齋藤深雪
- ミツ:平田朝音
- 松下立子
- 白川真奈美
- とき (バラし役.二幕の最後で海に沈められる):橋本陽子
- おふく:梅原伸子
- 竹田彩子
- 大河原裕子
- 井上馨
- 作:秋元松代
- 演出:増見利清
- 装置:高田一郎
- 照明:吉井澄雄
- 音楽:林光
- 衣装:加納豊美
- 効果:田村悳
- 振付:西田堯
- 舞台監督:土岐八夫,安川修一
- 制作:金井彰久,山崎菊男,八田満穂
- 1994 年 7 月 23 日,俳優座劇場.座・新劇 (俳優座 50 周年 新人会,青年座,東京演劇アンサンブル 仲間,俳優座劇場 40 周年記念) 公演.
最初にタイトル見たときに『居残り佐平次』を連想したなんてことは断じてない.
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