「何も起こらない映画が好きか? 僕のは何でも起こる."何でもあり"だ.踊る船員も出て来る」 © グィド・アンセルミ.
映画を作れなくなった映画監督 Guido Anselmi という一見押井風 (?) のお話.停滞している作品は SF だそうである.ちょうど中盤を過ぎたあたりでプロデューサが解説してるが,「核戦争で破壊された地球から新しいノアの箱舟で別の惑星に救いを求める人類の話」だとか.グィド自身の当初の所感だと「正直で嘘言のない単純なストーリーで,我らの内なる死を葬る映画」.それが「どこで間違えたのか.♪何も語ることがない[モーツァルトの "Non più andrai, farfallone amoroso" (LE NOZZE DI FIGARO の直前) のパクり.].だが,語りたい.なぜ精霊は助けに来ない?」.お客さん (兵藤まこ) がいないからですか.話の半分くらいまでは妻のルイザが出て来ないので,こりゃイオレーが出て来ないヒュロスの話かと思ったが,あっさり登場してきた (笑).ま,いずれにせよヘーラクレースに相当する存在が見当たらんので当てはまらんわけだが.
以下のリストは途中まで追い掛けたもの.徒労感が甚だしいので途中で離脱.
- フェリー (?) の駐車場でガスが充満する車に閉じ込められた男.
- 辛くも脱出してポースを取りながら空中へ.風船さん (百閒) かよ (笑).引き摺り降ろされて夢オチ.
- 転地療養かなんかで訪れている温泉保養地のベッドでお目覚め.医者と看護婦.
- 泉のほとりのオーケストラ:ワルキューレの騎行〜『セヴィリアの理髪師』序曲〜チャイコフスキー〜ロミエ氏の酷評.
- 駅.この駅にはステップがないぞ.グィドの愛人の人妻カルラ到着.
- カルラをグィドの投宿先とは別のホテル「鉄道ホテル」へ案内.グィドが口ずさんでるのが『セヴィリアの理髪師』序曲の一節.
- 二人がベッドで寝てる (カルラは読書中) の室内が要る野間にか墓地 (?) に連結.グィドの父と母.制作連.グィドは神学生だったのか? グィドの父は最近死んだのかな.グィドの妻ルイザが初登場 (ただし非現実).
- 教会? 制作部? やっぱりセヴィリアの理髪師』序曲の一節を歌っているグィド.
- 魔法の呪文「ASA NISI MASA」,「肖像画の動いた眼の先に宝物がある.呪文を唱えれば金持ちになれる.アサニシマサ」.
- グィドの幼少時代って孤児院か何か? 単なる寄宿舎? でっかい五右衛門風呂には下穿きはいたまま.ベッドの布団の下から出て来るグライダーのボディみたいなフレームは行火なんだろうな.
- ポータブルな告悔室.異教徒の眼にはこれほど異様なモノも他にない (笑).何かホドロフスキの映画にでも出て来そう.
- 95 分辺りの虚実混交シーン (例の五右衛門風呂に入るシーンあり) で,サラギーナな踊るルンバの曲.おや,サラギーナ自身もいるではないか.年齢制限に引っ掛かったらしいジャクリーヌ・ボンボンが抗議の声を上げるとフェミニスト集会様に糾弾展開.音楽もワルキューレ (笑).
- 常に酷評を下すロミエ氏,グィドがちょいと指を振って合図を送ると,マスクを被せられてそのまま劇場内の絞首台へ.あ〜,こりゃ撮ってて気持ちエエだろ (笑).でも,ブラ下げられた直後のシーンでグィドの左後方に復活しとりますが.
- 読心術師モーリスに導かれて白装束の主要等人物が続々出て来る辺りでフィナーレ.フェリーニの楽天主義を象徴する科白「人生はお祭りだ.一緒に過ごそう」.ラストはまるでクストリッツァの『アンダーグラウンド』みたいだけど,楽隊の最後尾のちびっ子が一人だけ残るのは『薔薇の騎士』っぽいな.
サウナで枢機卿が語るオリゲネス (Origenes Adamantius) の引用「エクストラ・エクレジアム……」は "Extra Ecclesiam nulla salus" (Extra Ecclesiam nulla salus ) で,意味は字幕にあるとおり「教会の外に救いはない」.この引用は三回繰り返されるが,二回目は "Extra ecclesiam nemo salvatur",三回目は "(Quia) salus extra ecclesiam non est." となる.
- Guido Anselmi : Marcello Mastroianni
- Carini, il critico cinematografico (ロミエ氏.苦し紛れの腹案を酷評する男) : Jean Rougeul
- Mario Mezzabotta (グィドの旧友.ピアノも弾く) : Mario Pisu
- Gloria Morin (メザボッタの愛人) : Barbara Steele
- Carla (グィドの愛人) : Sandra Milo
- Luisa Anselmi (グィドの妻) : Anouk Aimée
- Conocchia, il direttore di produzione (制作部のベテラン) : Mario Conocchia
- Claudia (and 泉の白衣娘) : Claudia Cardinale
- La Saraghina (ルンバを踊るヘタエラ・エスメラルダ) : Eddra Gale
- Rossella (ルイザのお供) : Rossella Falk
- Matilde (ルイザのお供) : Elisabetta Catalano
- Jacqueline Bonbon : Yvonne Casadei
- Madeleine, l'attrice francese : Madeleine LeBeau
- La signora misteriosa : Caterina Boratto
- Pace, il produttore : Guido Alberti
- Agostini, Il segretario di produzione : Bruno Agostini
- Cesarino, l'ispettore di produzione : Cesarino Miceli Picardi
- 制作:Angelo Rizzoli
- 監督:Federico Fellini
- 脚本:Ennio Flaiano, Tullio Pinelli, Federico Fellini, Brunello Rondi
- 音楽:Nino Rota
- 日本語字幕:吉岡芳子
そもそも,タイトルの意味が判らん.問い合わせに返答が来なくて遅れたスケジュールか (笑).シーンは時空を飛び回るが,そのうち混じり合って混沌として来る.好きモノにはたまらん構成ですな.
0 件のコメント:
コメントを投稿