- ワるきゅーレ III DVD 2 / エマ DVD
「そこはね,少しコツがいるのよ.押しながら上げて.そう.ここがあなたのお部屋よ.狭くて古いけど,我慢してちょうだい」 © ケリー・ストウナー. Pie Jusu Domine, dona eis requiem, sempiternam reuiem. あれ,ケリーさんは英国教会かな.
ケリーさんの埋葬.参列者はエマとアルとその仲間の計四人だけ.なんとまぁ,ほんとに身寄りがなかったんだな.
胸の空隙を埋めるかのように,淡々と後片付けに没頭するエマ.主がいなくなっても,そこかしこに蘇る想い出.まるでレベッカのように現れるケリーさんの姿.夜中,蛇口から漏れる水音で目を覚ます.蛇口を締め,居間を覗く.主のいない部屋.見るものがいない絵,座るものがいない安楽椅子.開けるものがいないカーテン.闇に沈む部屋で暖炉に火を熾すエマ.火の暖かさがケリーさんの暖かさを蘇らせる.昼のメイド服という公的な顔を捨て,素に戻った今,初めて嗚咽を漏らす.感動的なシーン.あと三回のうちに出てくるだろうが,エマに眼鏡を与えた=見る目を与えたのはケリーさん.そのケリーさんはもうどこにもいない.暖炉に熾した火が初めて照らし出す孤独の闇.
エレノア・キャンベル嬢は純情一直線.しかしながら「ウミガメって料理されても水の中なんですのね」とシャレを飛ばす.余裕はなさそうなんで天然だね,こりゃ.ワインは一気呑みだし酒の席で未だ一回の粗相もなしとはウワバミの素質ありか (笑).でも酔うと眼が据わって絡んでくるタイプみたい.
「水晶も,六月の庭も,青年の詩の恋にはただ色褪せる」,出典不明.「薔薇は蕾の中に趣を見る」も同様に出所不明.
メルヴィル卿の台所.中で忙しく立ち働いているのは 12 人ぐらい.配膳で走り回ってる見えてない使用人もエイヤで足すと二倍ぐらいかな.なんだが,ボーイはさすがに男だが,台所には不思議なことに男の姿がない.ヴァテールもコンラッドも料理長は男だったんだが,この時代のイギリスでは事情が違ってるんかな.鴨のロースト担当のプロ「料理人と言えど,味で貴族さまを感動させることができたその一瞬はね,対等になれるのよ.そういうもんじゃない?」,いやいや対等どころか優位に立つことだってできる.乗っ取ることすら可能 > ハリー・クレッシング.
ロンドンで上水道が完備されるのは 二十世紀以降のこと らしい.上下水道に関してはロンドンよりも江戸の方が先を行っていたそうだ.ともあれ,ストウナーさんのところは,比較的早くに整備されていたんだろう.
エマ,家なし猫は次回以降の食事場所を見付けたようだよ.ご安心召され.ところで,君はどうするの?
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