ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2005年5月15日日曜日

ディック『ドクター・ブラッドマネー』

  • フィリップ・K・ディック "ドクター・ブラッドマネー", 佐藤龍雄 訳, 創元 SF 文庫, 2005, ISBN4-488-69617-1, (Philip K. Dick "Dr. Bloodmoney", 1965)

ディック唯一の「核戦争もの」だそうで,確かに主人公「だけ」に襲い掛かる現実崩壊はない.ってか,登場人物全員がひとしなみに「それ以前」と「それ以後」を経験するわけで.とはいえ,人間 / 動物を問わないフリークスとか人工棺桶衛星だとか死者の声だとか破壊されたコミュニティとかの悪夢的イメージにも事欠かない.

p. 174 で「ジョアン・パチェルベル」なる固有名詞が出てきて首を捻るが文脈からするとヨハン・パッヘルベルのことらしい.確かに人名は難しいと思うけどさ,こんなところで間違えてるぐらいじゃ珍訳以下のレベルなんじゃないかと不安になったが,この一点以外は問題ないというか全く気にならずするすると読めた.強烈なインパクトはないし,非ディック的な (笑) 希望が持てる結末なんだけど,たぶんいちばん SF らしいというか一般受けしそうな感じ.

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