ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2007年6月2日土曜日

少女革命ウテナ #09 永遠があるという城

永遠があるという城1
↑横から
永遠があるという城2
↑下から[この逆さまになった城ってシャンデリアのイメージ? 二巻本ランダムハウスをめくってみると Chandelier はフランス語だが Chandler → Candle と来て,[ME, OE candel < L candēl(a) = candē(re) (to) shine + -la fem. suffix; → CANDID] とある. candid の語源を手繰って行くと,[< L candid(us) shining white = cand(ēre) (to) be shining white + -idus -ID] となって「白」にたどり着く.実際 candid には《古》として white, clear, pure という意味がある.「白」=「城」というのが一点,となれば,冬芽の薔薇額縁,暁生の髪,降りて来たディオスの髪と薔薇額縁,挑戦者としてのウテナの薔薇額縁,薔薇の花嫁保持者としてのウテナの薔薇額縁,白馬に乗った旅の王子さまの髪と薔薇額縁,土谷瑠果 (?) の薔薇額縁等々が白であることに気付く.ここまで来れば「城」の意味も推測できようというもの.]

「姫宮アンシーは今夜神隠しに逢う.決闘広場に行ってみろ」 © 鳳暁生 (?).クレジットには出て来ない.

語られるのは主として西園寺と冬芽の腐れ縁的な過去およびウテナと思しき少女との因縁話だが,その手法は非常に「妙な」 (つまりは『忘却の旋律』っぽい) 雰囲気の一篇で視覚的に強烈なイメージが頻出する.ときには『未来世紀ブラジル』[『未来世紀ブラジル』っぽい場面の一例.決闘広場に出現した巨大な薔薇の棺.
薔薇棺
グズグズになった屍体が詰まってそう (うう,汚穢) だが中にいるのはグズグズになっていないアンシー.この辺から『ブラジル』風.それがやおらにょきにょき生えて来る石塔に空中高く持ち上げられるのはもっと『ブラジル』風 (笑).決闘広場の床というか地のパターンがこれまたアフォーダンス的.]
あるいは『プロジェクト A 子』[プロジェクト A 子的ブラジル.なんか Kate Bush でも翔んでそうな感じだが.
A 子的ブラジル
倒壊する石塔はシルエットだが (左上) 人物と巨大薔薇はシルエットではない (右上以降).ウテナがぴんこしゃんこ飛んでる部分は『A 子』的だが,最後の巨大薔薇に突入するウテナは卵子と結合する精子のようにも見える.『薔薇の騎士』前奏曲でのホルンの咆哮 (オクターヴィアンの ejaculation) のようにも見える.]
になったりするが (笑).ミステリ的に言えば犯人側からの初めての反応ってな感じである.一応表に出て来てあれこれやってるのは冬芽だが後ろに鳳暁生が控えている.

過去話からすると薔薇の刻印を渡してウテナを焚き付けたのは冬芽であるらしいし,冬芽自身もその自覚はある.もちろん,それを利用している第三者がいる.話としては腹黒冬芽が単細胞の西園寺を焚き付けて暴走させ,退学処分を喰らわすことで薔薇の花嫁争奪戦から排除することになってはいるが,西園寺が「スタッフに愛されている」ことからすると,「可愛い子には旅をさせろ」としか思えん (笑).じゃぁ,西園寺がウテナに切り掛かる瞬間にスクロールするギロチン[ギロチンのようにも剣のようにも見える不思議なオブジェ.
ギロチンか剣か
なんか妖し気な手術用具のようにも見える.]
は? 千尋の谷底に突き落としたのですよ,落とされたのが西園寺だから当然這い上がってくることは想定されている.っつ〜か,その予定.だが,なぜこの時期に西園寺を一時退場させる必要があるのかは不明である.っつ〜か,その必要はない.あるとすればギャグ担当になった西園寺を救済するための時間稼ぎとしか (笑).「エンゲージしていない者が決闘の約束もなしにアンシーを決闘場に連れて行くことは許されません」 © 姫宮アンシー.そんなルールってあったっけ?

犯人は誰?

  1. 薔薇門 (婆羅門?) 前で西園寺を昏倒させて水中に落とし水死目前の目にあわせたのは誰? ウテナが来ることを確認した冬芽だろうな〜.

くるくる薔薇と髪の色の対応

くるくる薔薇と髪の色の対応 5
初出話数 名前 薔薇 合致
#09 冬芽に抱き寄せられるウテナ ピンク ピンク 4
#09 ウテナを抱き寄せる冬芽
(その王子さまっておれみたいなヤツじゃなかった?)
4 ×
#09 西園寺がウテナに切り掛かった瞬間に割って入った冬芽
(他にウテナ,アンシー,西園寺の影絵)
4 ×
#09 永遠が欲しい黒塗りピンク少女 ピンク ピンク 4
#09 西園寺らしい黒塗り うすい青 4 ×
#09 ピンク少女の髪を見詰めている冬芽らしい黒塗り 4 ×
#09 もう一回冬芽らしい黒塗り,ピンク少女の髪をするりと 4 ×

「永遠」に関する発言二種

  1. 「永遠のものなんてあるわけないのにね」 © 黒塗りピンク少女.
  2. 「いつか,あの空に浮かぶお城に行きたいの.あそこには永遠のものがあるの」 ©西園寺莢一的記憶の中の姫宮アンシー.これは西園寺の記憶にあるもので,実際にアンシーが言ったのかどうかは不明.

「永遠」という名の不変項

もちろんゲーテ的な「永遠」[ゲーテ的な「永遠」.ま,ふつ〜はこの二つかな.

  1. とどまれ!: Verweile doch, du bist so schön!
  2. 永遠に女性的なるもの: Das Ewig-Weibliche Zieht uns hinan.
]を想起しても佳いんだろうけど,ふつう過ぎてあんま面白くないので無理に他のを考えてみると,要するに時間の影響を受けずにつねにすでに存在するものということになる.こういう概念はそのままでは手に負えないから「不変なるもの」と言い換えてみると,「永遠のもの」とは「絶えざる変形の中から知覚される不変なもの」と受け取ることができる.ならば,それは「名称のない無形の不変項 (インバリアント)」なのであり,それを求めようとすることは

視覚と聴覚と触覚は言語を作ります。視る文字、聴く音字、触る点字。言語を作る三感(視覚と聴覚と触覚)を別々に使うのではなく、一緒に使った際の不変項を大切にしなければならないのだろうと思います。

[ memo: 視覚と聴覚 (と触覚) より ]

となって,けっきょくは自分に跳ね返ってくることになる.ウテナが MMM に関わってくることになるとは思わんかったよ (笑).

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