懐かしい一冊.
- 安部公房 "壁", 新潮文庫, 1951, 1969, 2004, ISBN4-10-112102-8
今読むと,意外にポップな面と,過剰なほどに叙情的 (というか ATG 的?) な部分が目につくのが面白かった.昔の orb (u.f.orb 辺り) とか BGM にしたら気持ち佳さそう.安部公房はこれで芥川賞を取った 12 年後に演劇集団を結成するし,それ以前から戯曲も多数書いてるが,なるほど,芝居風味的感触があるよな.
たぶん,「なんか『忘却』っぽくね?
」ってのは,そのポップな部分に反応したんだと思う.ポップであることが少なからず包含しているグロテスクになってしまうことも同様.
第一部「S. カルマ氏の犯罪」のラスト 2 行
見渡すかぎりの曠野です.
その中でぼくは静かに果てしなく成長してゆく壁なのです.
これ,絵として考えてみると強烈だよな.なんかヒプノシスというかターセムっぽいしさ.こんな絵があったら欲しい.
第三部「赤い繭」の終章「事業」のラストの宛先が,「彼の中の彼」殿になっている.これの返歌が倉橋由美子さんのエッセイ集『わたしのなかのかれ』のタイトルなんだろうか (笑).
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