再録.
- 杉山其日庵 (茂丸) "浄瑠璃素人講釈", 上下巻 岩波文庫, 2004, ISBN4-00-311741-7, ISBN4-00-311742-5
浄瑠璃の「風 (様式)」を追求した講釈本であるから,息子の久作の『謡曲黒白談』より敷居が高い.素養がない故に確かに『百魔』ほど面白くは読めないし,正直素っ飛ばした部分もあるが,茂丸節は健在.そういや,人形浄瑠璃って,まじめに観たことないな.
伝統主義じゃないけど,息子の『梅津只圓翁伝』同様に伝統の重みがひしひしと.芸談の部分はすこぶる面白い.持続は力なり (「継続」だったっけか (笑)).真物に触れること,際限もなく真物と格闘すること,頭だけでなく身体に叩き込むこと,いやぁ,ギャラリーフェイクにでも取り上げられそうなこと言ってんだけどさ.
この本が復刻した経緯は夢野久作方面からは関係ないようで,早稲田大の古典演劇研究コースの成果物が元になっているそうだ.ともあれ店頭で見たときには驚いた.あと,巻末解説によると,茂丸個人の伝記というか逸話集というか,島津書房というところから野田美鴻著『杉山茂丸伝ーもぐらの記録』という本が 1992 年に出版されていたらしい.
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