- "オーウェル評論集", 小野寺健 編訳, 岩波文庫, 1982, 1986
- なせ書くか (Why I Write, 1946)
- 絞首刑 (A Hanging, 1931)
- 象を撃つ (Shooting an Elephant, 1936)
- チャールズ・ディケンズ (Charles Dickens, 1940)
- 鯨の腹の中で——ヘンリー・ミラーと現代の小説 (Inside the Whales, 1940)
- 書評——アドルフ・ヒトラー著『わが闘争』 (Review of Mein Kampf by Adolf Hitler, 1940)
- 思いつくままに (As I Prease, 1944)
- ラフルズとミス・ブランディッシュ——探偵小説と現代文化 (Raffles and Miss Blandish, 1944)
- 英国におけるユダヤ人差別 (Antisemitism in Britain, 1945)
- P. G. ウドハウス弁護 (In Defence of P. G. Wodehouse, 1945)
- ナショナリズムについて (Notes on Nationalism, 1945)
- 出版の自由——『動物農場』序文 (The Freedom of the Press, 1945)
文学論あるいは狭義の文化論
その昔『象を撃つ』を読みたくて買ったのだが,分量としてはディケンズ論 96 ページ,ミラー論 70 ページと,この二篇だけで全体の半分近くを占める文学論 (あるいは狭義の文化論) の方が面白かった.ってな感じで「もっとも広い意味での「政治的」目的」のために書くオーウェルのエッセイ集.ディケンズ論ではディケンズの限界を露にすると見せ掛けて,ディケンズの読者の限界の方が暴露される.ミラー論はs実は現代文学論.類型化と「屍体に囲まれたホイットマン」.「完全に消極的で,非建設的で,道徳とは無縁の作家であり,単なるヨナ,受け身の姿勢で悪を受け入れる」云々.これって,まるでロブ・グリエに対する評価かと思わせる (笑).しかし,ヨナ伝説〜鯨の腹の中〜胎内回帰だとは思い付かんかった.
ナショナリズム
ここで扱われているナショナリズムは「個人としての自分を捨て,その中に自分を埋没させる対象として選んだ」概念を指す.その対象が必ずしも実在する必要は無い.特徴は,1) 偏執, 2) 不安定 (対象概念が簡単に変更可能であること), 3) 現実無視.以下,積極的な型,転移型,消極的な型という分類.平和主義や人種差別は転移型に属する.自国を嘲笑する感情やユダヤ人差別は消極型.
ディケンズに現われる外国人への蔑称.ワップ→イタリア移民.デイゴ→南欧移民.フロッギー→フランス人.スクエアヘッド→ドイツ,オランダ,スカンディアヴィア系移民.カイク→ユダヤ人.シーニー→ユダヤ人.ニガー.ウォグ→中東地方人.チンク→中国人.グリーザー→ラテン・アメリカ系.とくにメキシコ人.イェローベリー→黄色人種.「これでもほんの一部である["オーウェル評論集", 小野寺健 編訳, 岩波文庫, 1982, 1986, p. 86-7.]」.
ぼくらの
Cecil Day-Lewis の "The Magnetic Mountain" (1932) には「きみたちはいま出発する,これからはきみたちの責任なのだ」という詩があるらしい[ibid, p. 183.].ここではパブリック・スクール—大学—ブルームズベリ型の典型の一つとして揚げられてるんだが.
Uriah Heep
ユーライア・ヒープ (Uriah Heep) って,『デイヴッド・コパーフィールド』に出て来るキャラ「偽善的な書記ユライア・ヒープ」[ibid, p. 75.]だったんか. Uriah Heep (band) - Wikipedia, the free encyclopedia.
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