- エラリイ・クイーン "十日間の不思議", 青田勝 訳, ハヤカワ文庫, 1976, 2001, ISBN4-15-070101-6, (Ellery Queen "Ten Days' Wonder", 1948)
ずいぶんと久し振りに読んだ気がする.厨房の頃は創元推理文庫の国名シリーズを読んでたろうから,たぶんそれ以降だろうとは思うが,それにしてもかなりの時間が経ったもんだ.たぶん,ライツヴィルものではいちばん最初に読んだと思う.そのせいかどうか知らんが,本書の妙に熱っぽい雰囲気はいまだに覚えている.再読したらさほどでもなかったが (笑).解説は鮎川哲也大人.大人も触れているが,仏教徒あるいは非キリスト教徒にとって,国名シリーズと比べて本書が地味に感じられる理由は「謎を解明する手段として宗教を持ち込んだ点」だとしている.いわゆる「新本格」やエーコの波を潜り抜けた後だと,そうでもねぇだろという感じだが.実のところ,ここでの「宗教」は説明の道具であるに過ぎない.実際はラーイオスの逆襲.イオカステーはどちらの場合でも死ぬ.片一方は自殺でこちらは殺人だが.と言いたいところだが,こちらのオイディプースはラーイオスの実子ではない「らしい」ので,これは成り立たない.罰せられること[罰は二回下る.]で終わる姦通劇[姦通というテーマは五年後の『緋文字』でも取り上げられる.ホーソーンのヤツも読んでおくと尚佳い.].と言ってしまうと,この「妙に熱っぽい雰囲気」は伝わらない.今気付いたが,二回の謎解き (公的な初回と,最終的かつ個人的な二回目) という構成は,もしかして麻耶雄嵩が (も?) 処女作でパクった?
さすがに今またヴァン・ダインを再読しようとは思わんけど,ライツヴィルものはもう一回読みなおそうかな.
あ〜,ど〜でもエエんだけど, p.308,「ポールが最初にユダヤ人の安息日は決してキリスト教徒が守らねばならないものではないと断定しているのにもかかわらず,」のとこの「ポール」は日本語訳書としては「パウロ」とすべきではないだろうか.
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