ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2008年5月23日金曜日

クィーン『緋文字』

  • エラリイ・クイーン "緋文字", 青田勝 訳, ハヤカワ・ポケミス, 1956, 1975, (Ellery Queen "The Scarlet Letters", 1953)

この作品でもニッキー・ポーターという名のクィーンの秘書が出て来る.果たして同一人物なのかどうかは,はなはだ疑問 (笑).刊行は『帝王死す』と『ガラスの村』の間.殺人事件が起きるのは 80% 過ぎぐらいから.クィーン作品の中では珍しいケースなのかどうかは知らん.それまでは作家ダーク・ローレンスと舞台演出家マーサとの夫婦間の危機,そこにエラリーが送り込んだニッキーの作家秘書兼監視役の描写が延々と続く.登場人物が七人と少なく (『靴に棲む老婆』の半分以下),その分人物描写が細かいのも中・後期的.せっかくスパイ役を送り込んでるのに事件を未然に防げなかったのか云々というクレームは却下 (笑).しかし,どうなんだろ,登場人物の行動はいささか類型的じゃないだろか,ライツヴィルものに比べたら.←贅沢. double cross(ed) が「裏切り」になるのは Slapp Happy ファンなら知ってて当然.

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