あ,フランス語だと C で始まるんか.そういやショパンもそうだな.これはダイイチ (現 deodeo) 本店で購入したもの.
- Chostakovitch Symphonie N° 7 En Do Majeur, Op. 60 "Leningrad", Mstislav Rostropovitch, National Symphony Orchestra, Erato WPCC-3252, 1990
型番は邦盤 (ワーナー・パイオニア (当時)) だが,帯とライナーが付いてるだけで中身は外盤 (2292-45414-2).これがリリースされた 1990 年 3 月の一ヶ月前には,ロストロポーヴィチと夫人のヴィシネフスカヤは亡命して以来 16 年振りにモスクワを訪れて,この曲を含めた演奏会を開いている.オケも同じナショナル交響楽団.このディスク自体はそれより 1 年前の 1989 年 1 月の録音だが,この辺すでにスケジュールに入っていたのかも知れない.そんなこんなで,これはもう力瘤入りまくりで血管切れそうな演奏.主観的ならここまでやってもエエかもね,というよりもっとやって.ムスティスラフおじさん全集録音してるみたいだし,ちょっと注目かな.
この「曲」はともかく第一楽章の「戦争の主題」は,昔シュワルツェネッガーを起用した風邪薬かなんかの CM で使われたので,知ってる人は多いはず.「♪チ〜チ〜ンプイップイッ♪」ってヤツ.あとは例の『ショスタコーヴィチの証言』かな.
ワルシャワのそれじゃないけどショスタコーヴィチはスターリン暗黒時代を生き残った訳で,しかも対外的にはソヴィエト第一級の作曲家として.体制と自分の音楽がマッチしない場合は, 1) 迎合する 2) 主義を曲げないという二つの方向があるが, 2) は社会的に,下手すると物理的に抹殺される訳で対抗する術を持たない場合は自殺行為にも等しい.だけど,ショスタコーヴィチの場合は第三の方法,つまり迎合しつつも主義を曲げないという方法を取った.当然,表立って「主義を曲げない」ことはできないから,それは表向き姿を消すことになる.そりゃそうだ,緋文字じゃあるまいし「人民の敵」とレッテルを貼られて自己批判せずに生き延びられる訳がない.だから聴こえてくる音とその意味には大きな乖離があるんではないか.つまり,聴くものによってまったく違った相貌を表すのではないか,というのがかねてからの疑問.時代からいえば明らかに現代音楽なのに,しかもけして難解な音響ではないのにも関わらず,ひどく判りにくい印象を与えるのは,そういうことなのでは.現に,レハールのアレの歌詞を知ってる人間とと知らない人間では,この曲の受け取り方が全く異なってくるはずだ.
この曲からは第五番の第三楽章や第四楽章の引用が聴こえてくる.それはたぶんに意図的なものだ.五番は「人民の敵」というレッテルを剥がすのに一役買った.それは再度貼られたレッテルを剥がすのに再び役に立った.しかしそれは薬物だったのだろうか,それとも毒物だったのだろうか.
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