「T—レックスの真実を求めて」というタイトルを見たら,「おや,マーク・ボランの暴露ネタか」と思うだろ、ふつ〜,って,おれだけですかそうですか.正しいタイトルは,「サイエンスミステリー 殺し屋か掃除屋か T-レックスの真実を求めて (Valley Of The T-Rex)」.
要は,今まで獰猛な捕食者と思われていたティラノザウルスは,ゴミ集めの人だったのではないかというお話.骨格から彼らが視覚よりも嗅覚に秀でており,その部位の体格に於ける割合は禿鷹だかなんだか (40km 先の腐肉を嗅ぎ付ける能力がある) と同等であること,通常 (6500 万年前) より 300 万年前の化石が発見され,それから進化の具合を探ると,脚力が持久力を増す方向を向き,スピードや瞬発力の方は退化して行ったことなどなどから,ティラノザウルスは「死肉をあさる恐竜だった」という仮説を立てて検証している最中.つまり,ティラノザウルスはアノマロカリスの地位に君臨していたが,そこから追われてシドネユイアの位置に放擲されそうだということで,受取手が従来のイメージを払拭できるか否かということ.ちなみに捕食者の方はもっとガタイが小さく敏捷だった由.名前は忘れた,というか番組内で出てきたかどうか.
K-T 境界層 の話なんかも出てきて,さっそく復習復習 (笑).なるほど,「K-T Boundary」と云うのですな.でもいちばんの収穫は「掃除屋」は「スキャベンジャ (scavenger)」と云うのだということ.「死肉や腐肉」を「あさる」とか,禿鷹,禿鷲,ハイエナってマイナス方向のイメージを強制的に持たされるでしょ.「スキャベンジャ」だと有限のリソースを有効に使うために組み込まれた巧妙な仕組みということで,見方によればもっとも重要なシステム管理機能であるわけで,もっとプラス方向にイメージ修正されませんか? って,こりゃその手の処理系 (例えば Smalltalk*1.もともとは Lisp*2) を使った経験がないと「何言ってんだ,こいつ」ですかそ〜ですか.そりゃともかく,どうして体格に比して前肢がああまで小さいのかは,けっきょく説明してくれんのね.
でもさ〜,こ〜ゆ〜番組を作る国が,なぜあ〜ゆ〜為政者を選ぶかね.そっちの方が謎度高い.
*1: Smalltalk の処理系の一方の雄というか正統派 VisualWorks のガベコレに関しては,渡邊さんの VisualWorks の Garbage Collection 戦略 を参照. Squeak (うるさいこといえば 2.8 まで) に関しては 新青本 の pp.223-229 (原書 の pp.198-202) を参照. amazon.co.jp 新青本,amazon.co.jp 原書.
*2: InterLisp のマニュアルの表紙は「ゴミ集めしている人 (scavenger)」のイラストが載っていたらしいよ.
[中村正三郎 "電脳争乱節", vol. 4, 技術評論社, 1993, ISBN4-87408-542-3, p. 75 より ]
というわけで,もしかしたらと思ってちょと探してみたら 1974 年版リファレンス・マニュアルの pdf 版 ってのが見つかった. 715 ページ, 34.1MB もある.デカい (笑).う〜む,確かにゴミ集めしている人いるけど,予想してたのと違うな〜.なぜか,割りとリアルな感じのゴミ集めの人がソロで描いてあるんだと思ってたんだよな,こんな感じで.ちなみに,この薪を背負ったおじいさんは, Led Zeppelin の 4 枚目のアルバム のフロントを飾る人.
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