ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.
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2009年7月7日火曜日

井上ひさし『太鼓たたいて笛ふいて』こまつ座 2004

「休んでる暇ないんだ.書かなくては.書かなくてはね」 © 林芙美子.

こまつ座:過去公演情報:太鼓たたいて笛ふいて (2004)

林芙美子一代記っつ〜か,戦前〜戦中〜戦後の評伝記劇 (音楽付).『放浪記』の名前しか知らなくて読んだことなかったんで,出身が尾道,没年が 1951 年,戦中は従軍作家で大陸を転々としてたなんて,まったく知りませんでしたよ.もっと古い人かと思ってた orz.「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」ってのは『浮雲』なんだそうな.って,二葉亭四迷 (笑).話は 昭和十(一九三五)年秋から、昭和二十六(一九五一)年夏までの十七年間。 となってるので,『放浪記』が刊行されてから五年後以降.ヒトが闘うこと,闘ったことの責任,どうやって闘うことをやめるか,戦争責任,戦後責任.っつ〜か,従軍文士となってタイトルどおり太鼓たたいて笛ふいて戦争を賛美した自身に対する林芙美子流のケジメの付け方.これに対して島崎こま子として一貫してブレてない立場を置き,もう一方に自身で設定した「物語」に右往左往させられる三木孝と加賀四郎という対立軸.でも,いちばん強いのが母キクと土沢時男という超絶的立場.いやぁ〜,めっさ面白かった.

  • 林芙美子 [32]:大竹しのぶ
  • 林キク [67] (芙美子の母,四郎と時男の師匠):梅沢昌代
  • 島崎こま子 [42] (活動家,島崎藤村の姪,『新生』の岸本節子のモデル〜書家兼務):神野三鈴
  • 加賀四郎 [23] (行商人〜関東軍憲兵隊上等兵〜警視庁特高課刑事〜新宿署刑事):松本きょうじ
  • 土沢時男 [22] (行商人〜遠野で作男〜青笹小町に婿入り〜従軍してレイテ海戦で戦死〜というのは誤報で復員してみたらイノック・アーデン):阿南健治
  • 三木孝 [34] (ポリドールの音楽プロデューサ〜 NHK 音楽風紀委員〜内閣情報局音楽担当官〜放送局員):木場勝己
  • ピアニスト [年齢不詳]:朴勝哲
  • 作:井上ひさし
  • 演出:栗山民也
  • 音楽:宇野誠一郎
  • 美術:石井強司
  • 照明:服部基
  • 音響:斎藤美佐男
  • 衣装:宮本宜子
  • 宣伝美術:和田誠
  • 舞台監督:増田裕幸
  • 声の出演:辻萬長
  • 2004 年 4 月,紀伊國屋サザンシアター

大竹しのぶ,凄過ぎ.歌のアンサンブルは,例によって出だしはヨレてるけど,そのうち気にならなくなる.慣れた? (笑) っつ〜か,今回は音楽の存在感が大きい.ステージに立つのは六人の役者だが,ピアノは幕の裏ではなく,いわゆるピットに位置にいる.弾いてるのはヤハマのアップライト.画面は 4:3 で上下左右に黒枠があるんで,サイドカットで再エンコ.

上記の [¥d] は指定された年齢で,いずれも、劇が始まったときのものである。また、俳優は自分の扮する人物の年齢に忠実である必要は、ほとんどない。 ()

今月は WOWOW で『ムサシ』の初演が流れるせいか,他にも『道元の冒険』と『表裏源内蛙合戦』も.ちなみに全部蜷川演出.

2006年8月21日月曜日

岸田國士『屋上庭園』,『動員挿話』 2005

岸田國士戯曲賞 で名前だけは知ってたけど,作品を見るのは初めて.もちろん読んだこともなかった.失礼しました.ちなみに岸田今日子の父親.戯曲作品は 岸田国士 戯曲(発表年順) によると大正十三年から昭和二十九年に掛けて 75 作が書かれている.意外に古かった.『屋上庭園』は大正 15 (1926) 年 11 月,『動員挿話』は昭和 2 (1927) 年 7 月と同年 9 月に発表されたもの.夢野久作がデビューしたての頃じゃないか.前振りに出て来てたベテラン山路和弘氏,『幻想魔伝最遊記』や『蟲師』で声優も務めてました.知らないとは迂闊でした (笑).

  • 屋上庭園
    • 並木:山路和弘
    • その妻:神野三鈴
    • 三輪:小林隆
    • その妻:七瀬なつみ
    • 作:岸田國士
    • 演出:宮田慶子
  • 動員挿話
    • 馬丁友吉:小林隆
    • 友吉妻数代:七瀬なつみ
    • 宇治少佐:山路和弘
    • 少佐夫人鈴子:神野三鈴
    • 従卒太田:太田宏
    • 女中よし:遠藤好
    • 作:岸田國士
    • 演出:深津篤史

2005 年 11 月 11 日,新国立劇場小劇場 The Loft.新国立劇場の制作.それぞれ, 35 分, 60 分と驚異的に短い.『屋上庭園』は大正末期のインテリ層における勝ち組と負け組の対比.演出はストレート.『動員挿話』の「動員」はてっきり第二次大戦のことかと思ったけど,時期的には第一次大戦ですな,こりゃ.まぁ,根本は変わってないけど.多少はったりの効いた演出で幾分観やすい.

[インタビュー]  ゲスト:山路和弘  聞き手:横内謙介/植本 潤
[舞台中継] 新国立劇場公演 「屋上庭園」(演出:宮田慶子)
「動員挿話」(演出:深津篤史)
(新国立劇場小劇場 THE PIT・2005年)
作:岸田國士
出演:山路和弘、七瀬なつみ、小林 隆、神野三鈴 ほか

8月の「深夜劇場へようこそ」は、日本の名作戯曲の特集です。
岸田國士と三島由紀夫という、演劇史に名を残す2人の世界をお楽しみください (三島由紀夫のは四月に放送した『サド侯爵夫人』の再放送)。
「屋上庭園」「動因挿話」この2作品の連続上演は、新国立劇場「THE LOFT〜小空間からの提案」
シリーズの一つです。
紀伊國屋演劇賞・読売演劇大賞をダブル受賞するなど、高い評価を得た作品の、
これが初放送になります。
演出家は別ですが、キャストはほぼ共通なので(「動員挿話」で2名が加わります)、
異なるキャラクターを演じ分ける、役者の演技も見どころの一つです。
宮田慶子演出の「屋上庭園」は、まだ高層建築が物珍しかった時代、あるデパートの屋上で、
今で言う「勝ち組」と「負け組」の夫婦2組が繰り広げる、ささやかな人間模様です。
負け組男の台詞に、強がりと本音が交錯するあたりが、なんともリアルです。
深津篤史演出の「動員挿話」は、ある陸軍少佐夫婦と、それに仕える馬丁夫婦の物語。
出征が決まった少佐は、馬丁に一緒についてくるように命令します。
しかし、かつて夫に先立たれたことのある馬丁の妻は、
「戦争に行くぐらいなら私は死ぬ、だから行かないで」と夫にすがります。
妻への愛と男としての誇りとの間で揺れ動く男。彼はついに決心しますが、その結果・・・。
トークゲストは山路和弘さん。青年座入団から徐々に頭角を現し現在に至るまでの軌跡、
また、宮田さん・深津さんはじめ、鈴木裕美さん、宮本亜門さんなど、これまでに出会ってきた
さまざまな演出家の印象など、気さくに、かつ真剣に語っています。

どうでもエエが,昭和元年は 1926 年 12 月 25 日以降の七日間だけ.