ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.
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2009年4月12日日曜日

野田秀樹:現代能楽集 IV 『The Diver』 2008

「I'll be there for you, trust me, in this world and the next (ずっと一緒だ,現世でも来世でも)」 © 山中ユミに憑依した光源氏.

THE DIVER - 公演情報 - 野田地図

録画したのは 2 月 8 日か.ようやく観た. 80 分ちょいあるんで,ビミョ〜に片面に収まらない orz.なんと,前振りで「『源氏物語』と現代に起きた殺人事件が交錯するというサイコ・サスペンス」と,盛大にネタバレ (笑).元ネタは『葵の上』だそうである.メンバーの 3/4 がダブってるんで,どうしても『The Bee』を思い出すんだが,雰囲気はかなり違う.現代能楽集なのである.そっか〜, 三島[三島由紀夫も「葵上」をネタにして『葵上』を書いている.比べてみると,当たり前の話だが全然違う.] の次は野田秀樹なのか〜.面向不背の玉,どんな方向からも釈迦の立像を拝むことが出来る宝物だそうである.あの面はむしろスケキヨの面.台詞は全編日本語字幕付きの英語だが,葵が六条に放つ「あなたは,子宮から子どもを掻き出すくらいのことしか出来ない女なの」という侮蔑の台詞は,ここだけ日本語.強烈至極.このあと,叩きのめされた六条が般若となる (面を被る) シーンは迫力満点.実際はもう一箇所 (夕顔の死の場面) 般若になるのだが.

山中ユミは二人殺した罪で勾留されている.が,殺したのは四人だと言い張る.数が合わねぇなと思ったが,あとから佳く思い出してみると,確かに劇中であと二人,自分の子どもを殺している (堕胎している).なんかこの辺りは『小指の思い出』の粕羽聖子が思い出されてしょうがないんすけどね.

  • 山中ユミ・桐壺更衣・夕顔・光源氏・六条御息所: Kathryne Hunter
  • 警部・署長・頭中将: Glyn Pritchard
  • 検察官・光源氏: Harry Gostelow (デカいっ!)
  • 精神科医・葵:野田秀樹
  • 囃子:田中傳左衛門
  • 笛:福原友裕
  • 作・演出:野田秀樹
  • 共同脚本: Colin Teevan
  • 作詞:田中傳左衛門
  • 美術・衣装:キャサリン・チャップマン
  • 照明:クリストフ・ワーグナー
  • 音響:ポール・アルディッティ
  • 演出助手:ラッガ・ダル・ヨハンセン
  • 企画製作:世田谷パブリックシアター
  • 2008 年 10 月 8 日,世田谷パブリックシアター・シアタートラム

讃岐の志度湾は『源氏物語』ではなく,むしろ,義経が平氏を追撃する話の舞台としての方が有名らしい.この後に平家は壇ノ浦で最期を迎えることになる.あ〜,讃岐の志度湾って,能の『海人』の舞台じゃないか,そういうことなのか.

んじゃ,タイトルの「The Diver」って海人のことっすか.う〜ん,判らん. 1) 藤原房前の母との対比強調?  2) 山中ユミの精神に潜れってこと? 終幕で精神科医は悲鳴を上げて凍り付いてましたけど.

2008年6月23日月曜日

野田秀樹『The Bee』ロンドン・バージョン 2007

"Now, I'll send my own finger round." © Kathryne Hunter as Ido.

THE BEE - 公演情報 - 野田地図 (ロンドン・バージョン).

実質 70 分ちょい.原作は大筒井の『毟りあい』 (1976 年),すっかり忘れとります orz.舞台奥は全面鏡張り.一部は素通し (あるいは切り抜き?),ドア,窓,テレビ枠などなど.舞台の両袖に縦字幕.画面の字幕とは同じではない.客席奥からキャサリン・ハンター@井戸が帰宅してくると,舞台の床は真っ赤っか.頭の 20 分ほどは,井戸を除き,目紛しく配役が入れ替わる.井戸が小吾呂家に立て篭ってからは配役は落ち着く.紙筒に野球帽被らせて六郎ってのはびっくり.よくこんなの思い付くな〜.『半神』ではトランプの交換で臓器のやり取りを示唆していたが,今回は指を折り,切り落とすというシーンが出て来る.使っているのは鉛筆.握った拳から突き出ている鉛筆を折る / 斬る.音がリアル過ぎてぶるぶる.井戸と小吾呂の暴力の応酬がルーチン化していく場面,ゆったりとした音楽は何とプッチーニだそうで,『蝶々夫人』第二幕終盤の「ハミング・コーラス」だそうだ.

記憶によると原作には出て来なかったと思うが,こちらには「蜂」が.まぁ確かに「刺して自滅な蜂」だが,それより,その羽音だ羽音. Danny Gomez の flashback のイントロだろ.蜂度が即狂気の度合い,とか.

  • 井戸: Kathryne Hunter
  • 小吾呂の妻・リポーター:野田秀樹
  • 小吾呂吾朗・その子六郎・安直刑事、リポーター: Glyn Pritchard
  • 百百山警部・シェフ王・リポーター: Tony Bell
  • 原作:筒井康隆『毟りあい』〜「メタモルフォセス群島」
  • 脚本:野田秀樹, Colin Teevan
  • 演出:野田秀樹
  • 美術・衣装: Miriam Buether
  • 照明: Rick Fisher
  • 音響:ポール・アルヴェッティ
  • 舞台監督:瀧原寿子
  • プロデューサー:北村明子
  • 企画・製作:NODA・MAP
  • 2007 年 7 月 25 日, Noda Map 番外公演,シアタートラム

激高したときのトニー・ベル@百百山警部の喋りが,まんまグレアム・チャップマン (笑).野田秀樹の本格的な女役を観たのは粕羽聖子以来だな〜.何かくたびれた感じが凄ぇ艶っぽいんですが.キャサリン・ハンター,以外にガタイが小さくてびっくり.グレン・プリチャードの小吾呂吾朗と六郎や,安直〜六郎の入れ替わりはお見事と言うしか.すぱん! と決まるので観てて気持ちエエ〜.