ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2008年5月18日日曜日

成井豊『きみがいた時間 ぼくのいく時間』, キャラメルボックス, 2008

「「お命の持ち帰りこそ、功名の種にございます」.見てた?」,「見る訳ねぇだろ!」 © 秋沢真帆 & 秋沢里志[主演の上川隆也は NHK の『功名が辻』で山内一豊役を演じた.]

演劇集団キャラメルボックス. NHK 進出.てっきり DVD ソースだと思ったけど,まだ オンライン・ショップ には出てないみたい.

カジシンの短編『クロノス・ジョウンターの伝説』から派生したクロノス・シリーズの四作目.要はタイム・トラベルものを加味したラヴ・ストーリーと言ったところ.クロノス・スパイラルは単方向で,しかも特定の時間でしか移動できないという欠陥品という設定で,若い妻とお腹の赤ん坊を同時に失った里志が, 39 年前にワープして云々というお話.大きく現在篇と 39 年前から現在に至る巻き戻し篇の二部に分かれる.しかしながら,致命的とも思える疑問点が二点. 1) 所持していた 800 万円の行方, 2) 梨田紘未の同一性.とくに 2) は命取りだと思う.第一部の終盤近くで,ピーフレックを辞める決意をした里志は「どうしても紘未を助けたい」と明言している.ならば,死んだ「紘未」と,タイム・ワープした先での<紘未>がけして同一人物ではないことに気付いてなければならない.どうも気付いてないようなんですけど (笑).つまり,介入しなくても<紘未>は死ななかったかも知れない.もし介入しなければ死んでしまうのなら,<紘未>がその日死んでしまうすべての時空を変更しなければならない.その辺は何も語られず一切無視.正直「それってどうよ」.というわけで,お話としては破綻してると思う.お芝居としては,『嵐になるまで待って』同様に速いテンポで進むエンターテイメント.ナレーションで説明しまくるのも,後半でぐいぐい盛り上がるのも同じパターン.ギャグ・シーンはスベってるな〜 (笑).

  • 秋沢里志 (失意の研究者):上川隆也
  • 梨田紘未 (真帆の友人→里志の元恋人):西山繭子
  • 秋沢真帆 (里志の妹):岡内美喜子
  • 野方耕市 (ピーフレック開発三課長,四課長も兼務.クロノス・ジョウンター・プロジェクトのリーダー):西川浩幸
  • 若月まゆみ (ピーフレック開発四課長代理,クロノス・スパイラル・プロジェクトのリーダー):温井摩耶
  • 山野辺光夫 (四課員,ミリタリー・マニアのエンジニア):阿部丈二
  • 佐藤小百合 (四課員,空手家のプログラマ):渡邊安理
  • 広川圭一郎 (広川縫製社長):筒井俊作
  • 柿沼純子 (馬車道ホテル副支配人):坂口理恵
  • 柿沼浩二 (馬車道ホテル専務),怪しいイタリア人=鳥取県人:岡田達也
  • 柿沼英太郎 (馬車道ホテル支配人),ウェイター:左東広之
  • 萩原芽以子 (馬車道ホテル客室係):青山千洋
  • 栗崎健 (馬車道ホテルのフロント係),医師:三浦剛
  • 梨田紘未 (12 歳),婦警:小林千恵
  • ……
  • 原作:梶尾真治
  • 脚本・演出:成井豊,隈部雅則
  • 美術:伊藤保恵
  • 照明:黒尾芳昭
  • 音響:早川毅
  • 舞台監督:村岡晋
  • 振付:川崎悦子
  • 公演制作:ネビュラプロジェクト
  • 2008 年 4 月,サンシャイン劇場

このシリーズの第一作『クロノス』は録画してるけど,まだ観てない.キャラメルボックスはもう一本『彗星はいつも一人』も未視聴だわ.

住島重工の研究員・秋沢里志は、海外派遣留学を終えて、5年ぶりにニューヨークから帰国する。空港で待っていたのは、5年前に別れたはずの恋人、梨田紘未(ひろみ)だった。自分の帰りを待ち続けていた紘未に、里志は激しく心を動かされる。一方、里志は住島重工の子会社P・フレックで、新しい機械の開発に携わることになる。それは、物質を39年前の過去に送り出す機械、クロノス・スパイラルだった。最初の実験の日、里志の元に電話がかかってくる。紘未がトラックに撥ねられ、病院に運ばれた……。

梶尾真治さんの短編小説シリーズ「クロノス・ジョウンターの伝説」は、日本のSF史に残る傑作です。キャラメルボックスは、2005年に『クロノス』、 2006年に『あした あなたあいたい』『ミス・ダンデライオン』と、すでに3つの作品を舞台化してきました。そして今回は、いよいよシリーズ最新作に挑戦。なんと、作者の梶尾真治さんのお話によれば、主人公の秋沢里志は上川隆也をモデルにして書かれたそうです。「できれば上川さんにやってほしいなあ」という梶尾さんのラブコールにお応えして、秋沢里志役は、3年ぶりの上川隆也。ヒロインの梨田紘未役は、上川隆也が以前テレビドラマでご一緒した、西山繭子さん。前の作品を見てないという人でも、もちろん大丈夫。39年の時を越えて、一人の男が走り続ける物語。ぜひ劇場で見届けてください。成井豊

[ 演劇集団キャラメルボックス 2008 年 2 〜 4 月スプリングツアー より ]

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