ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2008年6月25日水曜日

野田秀樹『The Bee』日本バージョン 2007

「薬指を切断するとき,包丁を持ったままおれの思考も切断された.目の前の女がおれの妻なのか小吾呂の妻なのか判らなくなった.君は誰?」 © 井戸.これってラテン語起源の精神分析学用語 id が元ネタだろうか.

THE BEE - 公演情報 - 野田地図 (日本バージョン).

今度は野田秀樹が井戸役で日本語バージョン.真っ赤っかの床の代わりにでっかい模造紙.この大紙は舞台奥でスクリーンみたいに立ち上がっている.そこに映像が映し出される.シルエットと連動してそうに見えるのがミソ.ロンドン・バージョンにも出て来たけど,鉛筆削りは何なんだろ.ラジオかと思ったけど音出ないし.安直の♪ロンドン,ロンドン,愉快なロンドン,楽しいロンドン♪[ロンドン・バージョンでも使われてた.]は唐突だな〜 (笑).「蜂」は映像でもちゃんと見せられる.「好きか嫌いか嫌いか好きか」の『剣の舞』[これもロンドン・バージョンでも使われてた.]は,こちらの井戸の踊りの方が派手.奥の紙は前から映像を映し出すスクリーンであると同時に,その裏からも映し出される影絵スクリーンでもある訳か.凝ってるな〜.包丁とまな板の音[これもロンドン・バージョンでも使われてた.]で井戸と小吾呂の電話越しの会話がエスカレート.こちらではシェフの包丁も参加している.ロンドン版のシェフは小道具のゴム蕎麦をわさわさしていた.「マイ・ウェイ」[ロンドン・バージョンでは布施明.]はシナトラ版? オーラスの蜂の大群の羽音はこちらの方が長い.その間に舞台上の一切はゴミよろしく模造紙に畳み込まれる.

  • 井戸:野田秀樹
  • 小吾呂の妻・リポーター:秋山菜津子
  • 小吾呂吾朗・その子六郎・安直刑事、リポーター:近藤良平
  • 百百山警部・シェフ王・リポーター:浅野和之
  • 原作:筒井康隆『毟りあい』〜「メタモルフォセス群島」
  • 脚本:野田秀樹, Colin Teevan
  • 演出:野田秀樹
  • 翻訳・脚色: Roger Pulvers
  • 美術:堀尾幸男
  • 照明:小川幾雄
  • 音響・効果・演出補:高都幸男
  • 映像:奥秀太郎
  • 舞台監督:瀧原寿子
  • プロデューサー:北村明子
  • 2007 年 7 月 4 日, Noda Map 番外公演,シアタートラム

秋山菜津子の小吾呂妻,何かおっかねぇ.浅野和之の百百山警部はちょい軽いかも.近藤良平の小吾呂吾朗と六郎や,安直〜六郎の入れ替わりは,ロンドン版に比べるとやや甘いかも.これだけ見れば充分に「お!」なんだが.野田秀樹の狂いっぷりはさすがとしか.

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