ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2003年9月2日火曜日

ロズナーの悲劇

 ドイツ,ポーランド,日本 (硫黄島) での『セント・ルイス・ブルース』.とくにポーランドのエディ・ロズナーによるそれ.エディ・ロズナーは「白いアームストロング (サッチモ)」と呼ばれていたペット吹き.ナチスがポーランドに侵攻して来たため,ソヴィエトに亡命.スターリンからも認められて (ここ,ちょっと意外) 特別待遇を受ける.が,第二次大戦後の冷戦期に反米体制になったソヴィエト政府はジャズを拒否,ロズナーは 8 年間の栄光の後一転して弾圧下に.国外脱出を計るも拘束されシベリア送りに.スターリンの死後,解放される.晩年は渡米するが,演奏する機会はないまま死去.んで,シベリア抑留時代に,水面下で海賊盤として出回っていたのが,ロズナーのビッグバンドの演奏をレントゲン写真にプレスした「肋骨レコード」と呼ばれるソノシート. 200 万枚出回ったらしい.

 もしも,という話をしてもしょうがないのだが,ロズナーがソヴィエトではなくて西に脱出し,アメリカに亡命していたらジャズの歴史も変わっていたかも知れない.

 大戦後のヨーロッパのオーケストラが戦前に持っていたトーンを失ってしまったのも有名な話だ.ただ,この場合は最終的にアメリカに亡命した連中が地元のオーケストラに伝統の音色を伝授する機会があったことが救いである.

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