ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2009年5月16日土曜日

野田秀樹『パイパー』 2009

「おれが喰ってるモノで佳いのか?」 © ワタナベ.ようやくたどり着いたフォボスと母親に対して絞り出すように.

NODA・MAP 第14回公演 パイパー

舞台は火星.なんと久々にストレートなノダ的 SF である.しかも舞台上に登場する俳優の数がめっさ多い.ほとんどグランド・オペラなみか,と (笑).まぁ,喜劇のくせに上演時間が 4 時間を遥かに超す『マイスタージンガー』に比べれば, 2 時間ちょいと短い.段差のあるステージ,その高さを利用した椅子の格納の仕掛けが面白い.しかも,高さの差は時間の差になっていて,その椅子から高いステージに移ると時間も移動するという仕掛け.この発想源は何なんだ! パイパーのコスチュームはインパクト充分.この場合の「パイプ」は笛でなくて管ですな.

赤土と氷河、天空には地球が・・・。 1000年後の火星で、何が起きていたのか?

火星は人類の憧れであり、希望の星だった。その初の火星移住者たちの あふれんばかりの夢が、どのように変貌を遂げていくのか。 そして、人々と共に火星に移住した「パイパー」なる生物?機械?人間?もまた、 人類の夢と共に変貌を遂げる。そして1000年後の火星。 その世界を懸命に生きている姉妹たち。 その妹ダイモスに松たか子、姉フォボスに宮沢りえ、その父親ワタナベを橋爪功が 演じます。遠い未来の遠い火星が、2009年の身近な地球の劇場に出現します。

[ パイパー:最新公演情報 - 野田地図 より ]

火星が舞台だということで,ちょっとだけ『スター・レッド』かなと思ったが,あまり関係なかった (笑).ただ,火星側の住人が流刑人っぽい感情を持ってることぐらいかな,似てるのは.むろんディックとも違う.そんなことより,話が進むに連れ,フォボスとダイモスの方に興味が集まる.決定的瞬間を否応なく体験してしまった姉と,体験しなかった妹という対立構造.この構造は最後まで維持される.マトリョーシカがなぜ必要なのかは佳く判んなかった orz.というわけで,主役は 4 人.その中でもワタナベ (とキム) が設定する場の中でのフォボスとダイモスとの絡みのダイナミズムってなとこですか,見所は.キムはおそらく対視聴者への説明役も兼ねている.野田芝居と宮沢りえと言えば『ロープ』での長大なソロが印象に残ってるけど,今度は松たか子とのデュエットでした.内容はアジ文に近いと思うけど,異様な迫力はさすがに凄かった.ラストはまるで『ナウシカ』のアレで,必然的に GA の コレ を思い出してしまい,そっから ソレ への連想を余儀なくされてしまう.なんか終幕近いっぽい雰囲気で地べたからにょっきり植物が生えたりすると,「おわり」とか「おわ」とかのキャプションが出るんじゃないか,と (笑).

終幕の弦楽の音楽,あれ誰だっけ.ボロディンのオケ曲かなと思ったがどうも手持ちにはない.グリーグ (の『ペール・ギュント』) でもないし.誰かな〜と思ったが,やっぱグリーグで佳かったようだ.結果, "2 Elegische Melodien" op.34 No. 2 - "Letzter Früühling" であると判明.菅野浩和のグリーグ本だと『悲しき旋律』の第二曲「春」,井上辞典だと「晩春」という邦題が与えられている.形容詞が付いてるので,井上辞典の方が好ましい.ま,いずれにせよ,この曲は手持ちがないのでスコアを探して確認するハメになった.

  • ダイモス (妹):松たか子
  • フォボス (4 歳年上の姉):宮沢りえ
  • ワタナベ (ストアの店長.祖先は宇宙葬儀屋):橋爪功
  • キム (マトリョーシカの息子, 8 歳にしてワタナベのパートナー):大倉孝二
  • ビオラン (最初の火星移民の一人にして,火星最初の殺人者.事件後はコロニー外に逃亡)・その子孫のビオラン 12 世 (火星府の長)・ビオラン?世:北村有起哉
  • ガウイ (火星移住プロジェクトのスタッフの種まき男):田中哲司
  • フィシュ (火星移住プロジェクトのスタッフ.パイパー姓)・ビオラン 12 世の側近:小松和重
  • マトリョーシカ (キムの母親)・ビオラン 12 世の側近:佐藤江梨子
  • パイパー:コンドルズ (近藤良平,藤田善宏,山本光二郎,鎌倉道彦,橋爪利博,オクダサトシ)
  • ゲネラール (火星の統括責任者にして最初の被殺害者)・ゲネラール 14 世・ゲネラール 24 世 (移住先の金星からやって来た使者):野田秀樹
  • 作・演出:野田秀樹
  • 美術:堀尾幸男
  • 照明:小川幾雄
  • 衣装:ひびのこづえ
  • 演出・効果・演出補:高都幸男
  • 振付:近藤良平
  • 映像:奥秀太郎
  • 舞台監督:瀬崎将孝
  • プロデューサ:鈴木弘之
  • 2009 年 2 月 9 日, Bunkamura シアターコクーン

個性豊かなコンドルズの面々,今回は仮装に化粧でクレジット出るまで判りませんでした orz.主役の 4 人はさすがに凄いッス.とくに一見飄々とした風体の橋爪功のワタナベが実はいちばん狂っている,というのを感じさせる塩梅で,これはもうゾクソクするほどスリリング.

2 件のコメント:

  1. 「パイパー」良かったですか。WOWOWで録画したから、観てみようかな。

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  2. ここんとこ続いてた The Bee とか The Diver とかとは全く違ってますけど (笑).明日三人で観てみるよろし.

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