ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2007年7月2日月曜日

三島由紀夫『サド侯爵夫人』 2005 再見

サン・フォン伯爵夫人とアンヌ

十四ヶ月ほど前に 観た もの再放送.今回は 文庫本 片手に聴いてみた (笑).最初に観たときはサド侯爵夫人ルネ役の新妻聖子さん凄ぇと思ったけど,活字を追いながら聴いていると,その凄さを支えているのは曰く「抽象的,普遍的正義の化身[澁澤龍彦 "サド侯爵の生涯", 中公文庫, 1983, 2003, ISBN4-12-201030-6, p. 34.]」である母親モントルイユ夫人役の剣幸さんの重厚さがあるからこそ,だとか思った. 前回 は,左からルネ,モントルイユ夫人.シミアーヌ男爵夫人,シャルロットを掲げたので,今回はサン・フォン伯爵夫人とアンヌをば.右の赤十字はサン・フォン伯爵夫人の黒彌撒経験談のくだり (下記文庫本の pp. 63-64.).そこで触れられているギブール (Etienne Guibourg) やモンテスパン夫人 (Françoise-Athénaïs de Rochechouart-Mortemart, marquise de Montespan) の名はユイスマンスの『彼方』[ユイスマンス "彼方", 田辺貞之助訳, 創元推理文庫, 1975, 1981, ISBN4-488-52401-X, p. 83.]にもちょいと出て来る.

以下に,気付いた相違点を箇条書きで掲げる.ページ数は 三島由紀夫 "サド侯爵夫人", "わが友ヒットラー", 新潮文庫, 1979, 2004, ISBN4-10-105027-9, から.

第一幕

  1. p. 11, 下男ラトゥール
  2. p. 15, あの人のあらわな哀れな白い息づく胸の上に
  3. p. 17, 見事だこと
  4. p. 18, 車夫馬丁のやからは
  5. p. 18, ではあなたは道徳は車夫馬丁のもので
  6. p. 21, ともあれなにしろアルフォンスは,そういう類いの女たちと,
  7. p. 22, また澄み返るのを見るときはいつのことときか知れません.
  8. p. 23, とうとう娘には知れてしまいました.
  9. p. 23, 一方の頭を活かそうと,戦っておいであそばした.
  10. p. 24, 毒々しい果汁でいっぱい熟れた果物は,
  11. p. 25, 子供たちは安心して,小さな無害な領土の美しさに安住しています.
  12. p. 25, 何の予感もなく,何の兆しもなく,
  13. p. 26, ああ,ここパリにいながら
  14. p. 27, あの人の氷の快楽は
  15. p. 28, まあ,いいえ,奥様,決してそんな.
  16. p. 30, いいわ,ここへ通しなさい.
  17. p. 31, さあ,お前からもよくお礼を申上げて.
  18. p. 32, 残虐がつまりやさしさで,鞭ボンボンを通してではなくて,
  19. p. 35, お母様の訓えではなかったかしら.
  20. p. 35, お前はプロゼルーヌさながら,
  21. p. 36, 私は道ばたで物乞いをする癩病人ではございません.
  22. p. 36, アルフォンスと別れてお仕舞いなさい
  23. p. 39, こちらはまっとうな,世間並みの,安全確実な,誰にもうしろ指さされない人間で.
  24. p. 40, 世間ではアルフォンスが罪を働いたと申します.でももう私の中では,アルフォンスと罪は一心同体,
  25. p. 40, こんなにいつもアルフォンスを救けるために,力を合せ心を合せて心を合せ力を合せて働いて下さるお母さまが,
  26. p. 41, でも今度のことでしみじみをわかったのは,女の貞淑貞節というものは,
  27. p. 42, アルフォンスが今度今度アルフォンスが赦免されれば,
  28. p. 44, 積る苦労もあることだろうし.
  29. p. 45, 旅の間ずっとアルフォンスと一緒だったわけじゃあるまいね.
  30. p. 45, もしこれが知れたら,ああ,可哀想に,

第二幕

  1. p. 50, この家のこの同じサロンで,アルフォンスのことでみんなでみんなでアルフォンスのことで思案を重ねたものだわ.
  2. p. 51, もつれた緯糸がさまざまな模様を描いた.
  3. p. 54, パリ来てもホテル住まいでした.
  4. p. 54, こうしてとうとうお前の念願を叶えてあげる気になったのも,親と子の自然のつながりが,よみがえったと思ってくれればいいのよ.いわば元はと言えばお前のためなのよ.これまではずいぶんお前も,
  5. p. 55, 私もお父さまも終始一貫してそれでやって来ました.
  6. p. 57, そのためにあの人はあの人はそのために,いつもちゃんとした手続を踏むのです.
  7. p. 57, 朝の冷気で険しく厳しく聖い霜柱に結晶させる,
  8. p. 59, そしてその次の手紙が今度は,自殺するというおどかし,
  9. p. 59, そうかと思うと台所へ下りて来て,車夫馬丁のような悪口雑言.
  10. p. 62, 一人は鞭打つことで挑発し,もう一人は打たれることで挑発し,
  11. p. 64, 仔羊の血が私の胸,私のお腹私のお腹,私の胸,私の股の間の聖杯の中へ滴りました.
  12. p. 69, 散歩の途中にお立ち寄り下さったいましたのね.
  13. p. 72, 何も好き好んでこんなことをしているわけじゃない.
  14. p. 72, あの男は一時でもお前に忠実だったことためしがあるかい.
  15. p. 72, いくらお前が盲らでもありありと見える筈.
  16. p. 73, 私はこんなに良人の心の近くにいると感じたことはありませんでした.
  17. p. 74, 私のしていることそれと寸分たがわず,
  18. p. 74, それじゃではどうしても別れられないのは,
  19. p. 76, ひどく気が合っているだ,と.
  20. p. 77, では,あれ(ヽヽ)あの男が自由になれば,喜びがあるというの?
  21. p. 78, 親の私を責めたりすかしたりする前に,
  22. p. 79, 諸所を転々として行方をくらましたのち,ラ・コストの城にこっそりこっそりラ・コストの城に戻って,
  23. p. 81, お前のその血の気を失ったの失せた顔が,
  24. p. 81, お前は女の矜りをどこにお持ちだ
  25. p. 82, 何も御存知ないって?
  26. p. 82, 四年前のノエル,あのときに私は私はあのときに一つの決心を致しました.
  27. p. 83, 金髪の小さな白い白い小さな花の共犯になったのですわ.
  28. p. 83, それは私ども女たちの化粧道具,
  29. p. 84, お床の中でまで世間に調子を合わせていらしたその愉しい思い出をお忘れになりたくないのね.
  30. p. 85, 鍵をひらけばあければ,あちらには寝室,こちらには居間,
  31. p. 86, でも夜がなくなったらてしまえば,あなた方さえ,
  32. p. 87, それぞれの抽斗に入れられるの,それぞれの心柄で仕方がない.
  33. p. 88, 私は火焙りにされてなって死ぬつもりはない.
  34. p. 88, ああ,そう言うお前の顔が……
  35. p. 88, アルフォンスに似てしまった,怖ろしいほど

第三幕

  1. p. 90, ジャムやいろんな食べ物の籠をげて,
  2. p. 90, 遊山の支度のようにそわそわしておいでだった.
  3. p. 91, それに世間がこんなに変れば,人も変らずにはいられますまい.
  4. p. 93, こういう世の中は気を落ちつけて,右左左右をよく見て渡ればいいのだよ.
  5. p. 94, 喩えにも事欠いて,サン・フォンとは! 私がどうしてどうして私があんな名誉な死に方ができるものかね.
  6. p. 94, どんな信じられないような噂でも本当ですわ.
  7. p. 94, あのももういいお年で,肌もあらわな着物は御無理.
  8. p. 95, 「貴族は街燈に吊るせ!」というあの歌でしょう.
  9. p. 95, 「貴族は街燈に吊るせ!」というあの歌でしょう.
  10. p. 98, 若い私が望むどころか,夢にさえ見なかったもの.
  11. p. 98, それだけが琥珀の中へ閉じ込めることができるのよ
  12. p. 98, アルフォンスから来たあのこの手紙は,私も本当に心を搏たれた.
  13. p. 98, 革命党の連中のなかに獄中の知合がいろいろとおり,
  14. p. 99, それが結局結局それが身のためだからね.
  15. p. 99, あとからぜひヴェニスへいらして来ていただけばいいのですから.
  16. p. 99, さようなら,お母様,さようなら,お姉様.
  17. p. 100, お前のような年寄が,山出し娘のような返事をおしでない.
  18. p. 100, ヴェルサイユめざして進んだところから,どうやらお前もお前もどうやら気儘になった.
  19. p. 101, 別に縁起のわるいことないのだから.
  20. p. 102, お母様御相談もせずに私の一存で,
  21. p. 103, アルフォンスのことではかれこれ二十年このかた,相談に乗っていただいているのですもの,
  22. p. 103, 私も憚らず私の考えを申し上げましょう.
  23. p. 104, いよいよアルフォンスが出て帰ってくるという今日になって?
  24. p. 104, 何度か鉤かけられて遁れながら,
  25. p. 107, まぁ,おきき.今まで十八年のあいだ,私は別れろと言いつづけ,
  26. p. 108, そうだとも.まあ.あれ(ヽヽ)も根は悪い男じゃない.
  27. p. 109, ただ風変わりだということだけで尊敬を受け,
  28. p. 109, あれ(ヽヽ)は今あれ(ヽヽ)巧みに身を処しさえすれば,街燈に吊られない唯一人の貴族になるかもしれません.
  29. p. 110, こんなときに一等損を見るのでございますねえ
  30. p. 110, 二十年もの間精を尽くして,
  31. p. 113, 侯爵もお心のうちに芽生えた光りの兆しを等閑にはなさらず,
  32. p. 115, 牢屋のなかでこれを書きつづけました
  33. p. 116, 昔そんな噂におびえ,
  34. p. 117, そしてアルフォンスは……,ああ,その物語を読んだときから,
  35. p. 118, そして,お母様,私たち住んでいるこの世界は,サド侯爵が創った世界なのでございます.
  36. p. 119, もう,心は決っております.
  37. p. 121, そのとき空は破れて,洪水のような光りが,見た人の目をのこらず盲らにするあの聖い光りが湓れるのです.

つごう六箇所ある NHK の「検閲」とおぼしきものは赤字で表示した.

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