ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年12月28日木曜日

サルトル『実存主義とは何か』の訳本には骰子への言及なし

  • J-P・サルトル "実存主義とは何か", 伊吹武彦, 海老坂武, 石崎晴己 訳, 人文書院, 1955, 1996, 2006, ISBN4-409-03042-6, (Jean-Paul Sartre "L'existentialisme est un humanisme", 1946, English translation)

骰子探しの結果は該当なし.この本,つまり「実存主義とはヒューマニズムである」と「討論」,および「糧」,「偉人の肖像」,「顔」,「実存主義について - 批判に答える」,「パリ解放・黙示録の一週間」,海老坂武「一九四五年の実存主義」,伊吹武彦「初版 (全集版) あとがき」には骰子という単語は一度たりとも出て来ない. "Black Lagoon" 第二十話 で引用されたテロップ「L'homme est d'abord ce qui se jette vers un avenir, et ce qui est conscient de se projeter dans l'avenir.」の訳文は「(すなわち) 人間はまず,未来にむかってみずからを投げるものであり,未来のなかにみずからを投企することを意識するものであることをいおうとするのだからである」 (p.42).これに被さる音声の方の「人は骰子と同じで,自らを人生の中へと投げ込む」の出典は,まだ不明.

「実存主義とはヒューマニズムである」と「討論」の訳は故人の伊吹武彦氏だが,海老坂武氏がこれに異議申し立て.補注という形で,本編五八箇所,討論には三八箇所の「訳し直し」が付されている.故人には勝てない (笑).似たような事情が ホルスト・ガイヤー "馬鹿について", 人間 - この愚かなるもの, 満田久敏, 泰井俊三 訳, 創元社, 1958, 1996, ISBN4-422-93003-6, (Horst Geyer "Über die Dummheit", 1954) のタイトルにもあったようななかったような.

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