ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2005年2月10日木曜日

ベーコン『ニュー・アトランティス』

  • ベーコン "ニュー・アトランティス", 川西進 訳, 岩波文庫, 2003, ISBN4-00-336174-1, (Francis Bacon "New Atlantis", 1627)

辿り着いた孤島はベンサレムの国という隔絶した「新しきアトランティス」であったという未完のユートピア小説,といって佳いのか (笑).実質的には「サロモンの家」と呼ばれる学院の記述の途中で中断されている.カバーにはシュヴェイクハルトの『薔薇十字の知恵の鏡』に収められているという「薔薇十字兄弟団の見えざる学院」の図を用いており,参考文献にもフランシス・イェイツが揚げられており,明らかにそっち方面を意識していると思われ.実際,ベンサレムの国の高度な文化は隠された系統に従っていることでもあるし.まぁ,ワタシ自身にしてからエーコ絡みで手を出したわけだが (笑).

サロモン,ソロモンというのが知恵の隠喩であることは佳く判ったが,「サロモンの家」にある音響研究所では,四分の一音やそれ以下の微妙な違いの音によるハーモニーなども研究しているそうだ.この時代 (十七世紀前半) に微分音である.バッハの平均率第一巻が出る百年前だよ.まぁ, 16 世紀には 31 音からなるスケールというのも研究されていた そうだが.一般的な感覚だと,やっぱ 20 世紀のアロイス・ハーバだよね.

アンドレーエの『化学の結婚』は 1616 年に刊行されているとのことだが,ベーコンはこれを読んでいた,のでしょうなぁ,やはり.

プラトンがアトランティスに関する記述を残しているというのは『百億の昼と千億の夜』で知ったのだが,訳注によると,その辺は『ティマイオス』,『クリティアス』に記述されているらしい.どうもこの辺は文庫にはなってないようだ (笑).岩波のプラトン全集第12巻に両方とも収められている由.

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