ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年10月14日土曜日

遊園地再生事業団『モーターサイクル・ドン・キホーテ』 2006

遊園地再生事業団プロデュース『モーターサイクル・ドン・キホーテ』

9 月 18 日放送分.全六景.横浜は鶴見区にある小さなバイク修理工場,そこの,遠目には三国連太郎みたいに見える社長竹内忠雄の「四十七歳の憂鬱」*1.え〜と,もともとはスティーヴン・グリーンブラットなるおぃさんが,「文化の流動性」を見たいがために企てたもので,ドン・キホーテの影響下にシェイクスピアが書いたとされる現存しない戯曲『カルデーニオ』をネタにして,それぞれの「カルデーニオ」を構成してみろ,というもの*2.カルデーニオはセルバンテスの原作に登場する謎の憂い顔 (かどうかは知らんが) の騎士.男装の美女ドロテーアや二枚目のドン・フェルナンド,絶世の美女ルシンダなどが絡み合う愛と裏切りと嫉妬と怒りと和解の物語なんだそうである.その辺は真知子と神山の劇中劇として演じられる.しかも,この劇中劇は過去に実際に真知子らが演じてみせた舞台にもなっているそうで,ややこしい.他にもチェーホフへの言及が散りばれられていたそうだが,素養のないわたくしにはさっぱり判らんかった (笑).

女優を志す由佳.絶対反対の忠雄.女優を捨てた真知子.ニートの秀夫.何やら過去に因縁がありそうな坂崎.「好きなことなってないやつの顔は歪んでいる」と言ったのは山下洋輔だそうだが,この場合は当てはまるのかな〜.妄想が嵩じた忠雄がドン・キホーテになってイージーライダーよろしく出奔してしまうのはエエとしても,サンチョ・パンサに相当する坂崎がお供する理由は佳く判らんな.弥次郎兵衛にくっ付いてった北八みたいなもんなのかね.でも,不在の三年間で何か変わったのかね.けっきょく,落ち着くべきところに落ち着いた風なんだけど.だって The Show must go on だもんねぇ.メロスの戦士は誇大妄想狂がエエとこだよね.

  • 作・演出:宮沢章夫
  • 竹内忠雄:小田豊
  • 坂崎仁:下総源太朗
  • 竹内真知子:高橋礼恵
  • 神山四郎:岩崎正寛
  • 松浦秀夫:鈴木将一朗
  • 竹内由佳:田中夢 (第五場の絶対領域がステキ (笑))
  • 2006 年 5 月,横浜赤レンガ倉庫 1 号館 3F ホール

紅二点の女優陣,なんとなく見た目がカルメン・マキっぽい由佳役の田中夢さんもだが,真知子役の高橋礼恵さんもめちゃんこ麗しい.というような詰まらない感想で済まんこってす.

頭のインタビューでは,ワークショップ受講者が考案した,新宿〜池袋間の空き地や橋の上で演じられる芝居を山手線の車中から観劇する「不連続な芝居」とか,ビルの五階から眺めるという「聞こえない芝居」の話が面白かった.なら複数の芝居を同じ場所で同時に上演するとか,観客席を取り囲むような舞台を作るとかどうですかね.前者は往年のハプニングの領域であって珍しくも何ともないかな (笑).

*1: ネタ筋はチェーホフの『ワーニャ伯父さん』.

*2: シェイクスピアはドン・キホーテの登場人物を主人公に「カンデーニオ」という戯曲を書いたとされるが,その戯曲は失われて内容はわからない.ドン・キホーテに描かれたカルデーニオは三角関係に翻弄される悲しみの騎士.今回,失われたカルデーニオの物語を世界各国で,それぞれの国の劇作家が,現代の物語として劇化するプロジェクトが企画された.

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