ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年9月8日金曜日

南條竹則『恐怖の黄金時代』

  • 南條竹則 "恐怖の黄金時代", - 英国怪奇小説の巨匠たち, 集英社新書, 2000, ISBN4-08-720044-2

南條先生の怪奇小説オーマジュ.ホラーとかスプラッタとかサイコ・サスペンスとか今風の派手なもんではない.そういうのは「単に胸をむかつかせるだけ」 (© M. R. ジェイムズ) だとして一蹴されている.だからここは「怪奇小説」という漢字でなければならない.血の匂いとかじゃなくて,古びた本の匂いとかパイプ煙草の香りとかである.巻末に「附録」としてジェイムズの死後発表された絶筆『枠の中の顔』.本邦初訳.かな.

ブラックウッド,『いにしえの魔術』,『柳』,『ウェンディゴ』,『人間和声』,『堕獄者』.マッケン,『パンの大神』,『内奥の光』,『白い粉薬の話』,『白魔』,『夢の丘』,『秘めたる栄光』.などときて,ロード・ダンセイニ,ラヴクラフト, M. R. ジェイムズと三人のベンスンとハウスマン (!) とキラ=クーチ,メイ・シンクレア, M. P. シールとゴーズワース, H. R. ウェイクフィールドと続く.ダンセイニ卿を除いて M. R. ジェイムズまではほとんど読んでいたけど,メイ・シンクレアから先は,アンソロジーに入っているの以外は読んだことないっす.シールの『プリンス・ザレツキーの事件簿』は持ってたかも知れない.が,そのシールが レドンダ島 の王を名乗っていたとは知らなんだ,愉快なおっさんである.ウェブ・サイトもある (笑). The Redondan Foundation - Kingdom of Redonda

  • そのレドンダ王国で公爵に列せられた名前のなかに「アーサー・ランサム」ってあるんですけど (笑). p. 191.
  • 「ネピリム」って Nephilim のことなんだろうな.『創世記』第六章に曰く「當時地にネピリムありき亦其後神の子輩人の女の所に入りて……」.人間よりも一段高い存在,大いなる霊,一種の堕天使,これが人間と交わり,成した種族が「ネピリム (巨人)」. p. 29, ということで.あ,やっぱ Nephilim で佳い. The Fields of the Nephilim FAQ.ライヴ (の音源) が一種の宗教的儀式風の雰囲気を持っているのは正しい.でも,他のゴス系のバンドもそうなんかな (笑).

萩原朔太郎『猫町』は,やっぱ読んでみなくちゃ.ブラックウッドとマッケンはまた読みたくなった.暇になったら神保町にでも出掛けるか (笑).

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