ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2005年11月23日水曜日

蟲師 #02 瞼の光

「スイは蔵を出た.木々や花や光をたくさん観る.もう暗闇の中で,あの不思議な光に魅せられることもないだろう」 © ビキ.

眼球を失って闇に沈もうとするスイにギンコが再び見る力を与えるお話.

一つめの瞼を閉じるということが感覚器官への入力を遮断するということなら,二つめの瞼を閉じるということは脳内認知活動を停止するということか.もっと単純に心眼を閉じるという意味か.いずれにせよ,降りてくる「本当の闇」の中に見えてくる光の河は nil が流れる河 (んなこたない).

まなこのやみむし
光が当たると眼が痛むという症状を起こして暗闇を作り出し,その闇を通して繁殖する.眼球を喰らう.

「何処にいたって,人は,繋がっているのよ」 © レイン.下の方でも,もちろん皆繋がっている.スイもずっと下方の光る河の岸辺でギンコと出逢っていた.

二つめの瞼を閉じたまま,眼を開ける.心眼あるいは脳の与り知らぬところで感覚器官への入力を与える.眼球があれば解釈系がないので反射だが,スイの場合はすでにないので眼球の位置にあるものに刺激が与えられる.

眼球を失ったスイの眼窩から大量の液状蟲が溢れ出すシーンは,考えてみれば非常にグロテスクなんだが,絵が極めて上品で節度があるので,ちっともそんな感じがしない.むしろ,ギンコが義眼に まなこのやみむし のエキスを注射するシーンの方が皮膚感覚的に痛い.そのせいかどうか知らんが,画面はマスキングされていた.

本家のスイが禁忌の病持ちで,ビキが隔離用の蔵貸しを拒否できない分家の息子というのは,なんぞ社会派的な意味があるのか知れんが,それよりビキを拒絶されたスイが光の河に沈むシーンの方がまるで入水のようで痛ましい.おまけに河に入ったあとのスイの眼窩からは黒煙のようなものが.入っているのか出ているのか判らんが,あのまま放っておくと人でないものに成り果てるんだろう.

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