ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年2月27日月曜日

蟲師 #18 山抱く衣

  • 蟲師 DVD 2a (台詞あり 15 秒)

「あの頃,山には不思議なものがいた」 © 塊.そして,誰もいなくなった.ふと気付くと,すべては回帰していた.

あら, OP がないよ.故郷を喪失した代わりに名声を得た天才絵師が,極度のスランプの挙げ句に遁走逐電.生地に戻ってリフレッシュ.生きる意欲も創造する衝動も取り戻した.とまぁ,端折ってしまえばそういうお話なんだが,代償というか生け贄はやはり必要で,里を出て絵師になるという塊を勘当したらしい父親と,優しかった姉を地滑りで失う.祖母も戻って間もなく亡くなる.唯一残されたのが姉の忘れ形見のトヨ.発育が遅い.姪だそうなんで,女の子だったのか.

(字未詳だが読みは,うぶすな)
「産土」か.土地により固有のものがいる蟲.土中では泥状,地上に出ると煙様の形態をとる.塊の故郷で起こった大規模な地滑りで うぶすな も同様に流された.その先で元の土地の材料で作られた塊の羽織の羽裏に描かれた,元の土地の山の絵を見付けて入り込んだ.「ずいぶんと大量に棲んでたようだ.うぶすな は他の土地では生きて行けないから集まったのかね」.同郷の匂いに集まる.以下ギンコ曰く,その土地から生じる全ての植物に微量に宿る.そしてそれを口にして動物も体内に うぶすな を宿す.どこにでもいる蟲だけに影響力は小さいし,宿主が土地を離れれば全く力を失う.生まれた地に戻りさえすれば,また生涯,他の些細な蟲からは護ってくれようとするものだがな.
「産土」は生まれた土地の意味.産土神はその守神.鎮守するというぐらいだから,やっぱ荒振るのね.

お久し振りの化野先生に「ごく偶に絵の山から煙が上がるそうだ.十年に一度くらい,かね」 © ギンコ.まぁ,それを実演して証明するには十年掛かるわな (笑).

塊は凷の俗字で,土の塊とかブロックとか,そういう意味.ツクリの鬼ってのがまたアレで,「まるい頭をした亡霊の姿」,「異相にして大,もと人屍の風化したものを称する語であろう」とも.この「土の塊」って, emeth -> meth でゴーレムが崩れた後の姿じゃないのか (笑).

乳離れの時期に うぶすな が足りなかったから成長が遅れているというトヨだが,昔懐かしいポルトマンの「早産説」を思い出したでございますよ.あ〜,それからボルクの「幼態成熟」も.いきなりな例だが,『ノワール』の夕叢霧香のように叩いて鍛えればどうにでもなるという可塑性を獲得したが故に,ヒトがヒトとして進化できたんだろうけど,これもまた代償が必要な訳で.生まれてからもある程度の期間は保護が必要というのは明らかに負債であって,それなら分散する方が楽だから,もしかしてこれがために共同体を作らざるを得ないという状況になっているのかも.こういったネオテニー的進化が嵩じるとどうなるか.レベッカ宮本みたいなのがうじゃうじゃしとるとか (笑).

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