ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年5月30日火曜日

アンドリュー・ヴァクス『フラッド』

  • アンドリュー・ヴァクス "フラッド", 佐々田雅子 訳, ハヤカワ文庫, 1994, 1995, ISBN4-15-079601-7, (Andrew H. Vachss "Flood", 1985)

幼児虐待をテーマに描くポスト・ネオ・ハードボイルド派の旗手ヴァクスのデビュー作.清濁合わせ持つ前科二十七犯の私立探偵バークに仕事を持ち込んで来たのは,一見すると小娘だがフラッドという名の武術家.「コブラの体は床に落ちた.背骨は弓なりにそり,両手はフラッドの顔の寸前まで達していた.フラッドは右手を腰から前へまわし,やつのむきだしの喉へ振り下ろした,腰が浮いて爪先立ちになったが,まだしゃがんだままだった——フラッドの一撃の反動で,コブラの上体が床から浮き上がった.フラッドはそれを片手で受け止めて支えた (p. 535)」.えらくカッチョエエ.ちなみに,コブラは幼児虐待殺人犯というクズである.脇役に至るまで個性的な人物ばっかだが,やっぱフラッドの格好よさが抜きん出ている.

猥雑なニューヨークの描写がまるで『マトリクス』のようだと思ったら,こちらは『ニューロマンサー』の翌年の刊行だった.サイバーパンクの影響ってあるのかな.

著者名になんか見覚えがあるなと思ったら,やっぱ りなも さんのところだった (笑).

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